2021.11.04 高級メーカートップも「時間惜しまず電話対応」「インターナショナルオーディオショウ 」オンライン予約でファン集結
「東京インターナショナルオーディオショウ」の告知ポスター
世界最高峰のオーディオを集める「東京インターナショナルオーディオショウ(TIAS)」が5~7日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催される。1983年に「輸入オーディオショウ」として始まり、今回が38回目。 日本を代表する高級オーディオメーカーが連携して開く。昨年はコロナ禍で中止。今年は事前予約制としつつ2年ぶりに開かれる。ただ、シニアファンも多いジャンルとあって、ワクチン接種の予約ではないが、オンライン予約について家族ぐるみでの手伝いを受けて来場するというファンも。ガラケーしか持っていないファンもいて、トップメーカーの社長自らが、問い合わせ電話に30分も対応するなどした。「誰も取り残さないように」と、手づくりで準備して臨んでいる格好だ。
今回の舞台裏を、主催者の日本インターナショナルオーディオ協議会(IASJ)会長である鈴木雅臣・アキュフェーズ社長と、IASJ理事でTIAS事務局長の末吉達哉・ラックスマン社長に聞いた。
鈴木氏 少し歴史をひもときましょう。83年に第1回が開かれた際は、「夢の輸入オーディオショウ」と銘打ち、副題に「憧れの海外オーディオコンポーネントを一堂に!」とあった。輸入代理店が集まって出展し、国内のものは基本的に展示されていなかった。
末吉氏 当社は輸入品も扱っていた関係で、第10回当時から参加していたようです。
ステレオで音楽を楽しむのは、単に録音されたものを鳴らすということではなく、自分好みのシステムで、自分好みの機械でどう再生するかということ。いわば再生芸術。その魅力を知っていただきたい、という業界の思いが込められています。
●至便の会場で
鈴木氏 当初はホテルが会場で、会議室や客室を借りていた。ベッドを外してレイアウトするといったこともしていた。ただ、音も漏れるし、部屋の調度品が音響のうえで不都合といったこともあった。それで、国際フォーラムに会場を移した。
国際フォーラムは防音などもしっかりして、使いやすいし、交通も至便。北海道から沖縄まで、また、今回は難しいが海外からもファンが集まる催しの会場としては最適。
末吉氏 残念ながら、準備が佳境に入ったのが、感染拡大が最も懸念されていた時期。今(対談のあった10月)から考えれば、少し過剰だったかもしれないが、人数を半分程度に絞り、事前予約とさせていただいた。システムもそれに合わせて構築した。万が一にもクラスターなどを発生させてはいけないので。
また、本来は海外にも大きくPRするところ、今回はそれも控えた。予約の際のさまざまなデータ入力など、来場者の方にはご不便をおかけしているが、万一の際の対策の意味でも、ご理解・ご協力をいただいている。
鈴木氏 コロナ禍の中で、リモートのイベントなどもさまざまに行われ、「ああ、こういうこともできるのか」と気付かされた。時間や場所の制約を受けずに音楽を楽しめる機会が増えた。
一方で、ハイエンドオーディオで、スピーカーから出てくる音を楽しみたい、という人もいる。アンプのつまみを回したいとか、ボリュームの手応えといったものも含めてトータルに楽しみたいと。リモートでは残念ながらそれがない。
やはり実際にその場で触って、聴いて、楽しんでもらいたい。今回のショウで、事前予約が早々と埋まってきたのは、期待の表れでしょう。
●期待大きく
末吉氏 今回のショウでは、中にはどうしてもオンラインで手続きができないという年配の方が当社に電話をかけていらして、そうした方には臨機に対応している。私が30分ほど電話のお相手をしたこともあります(笑)。
まだ若い娘さんが、ガラケーしか持っていないお父さんの代わりにオンラインで予約し、「父のもとへ、予約のQRコードをファクスしたが、鮮明に読めるか心配」と電話をかけてみえました。音楽好きのお父さんの外出を家族で応援してあげようという思いが伝わってきて、ありがたかった。
鈴木氏 お客さんに会える、情報提供できる、ということのありがたさを、私たち自身が改めて感じている。ファンに支えられている業界だなあと。
会場近くを通りかかった人にも気軽に入ってもらうショウが本来の姿。次回以降は、その在り方に戻れたらいいと思う。ファン層を広げる意味でも。
末吉氏 コロナ禍で、音楽の価値も改めて見直されている。音楽は趣味の世界とも思われがちだが、心を豊かにする、生活になくてはならないもの。
巣ごもり需要もあってか、当社もメンテナンスやオーバーホール、修理の依頼が増えました。長年のファンの方にも、また、オーディオの世界に関心を持った方にも、ショウにぜひ足を運んでほしい。
(5日の電波新聞・電波新聞デジタルで特集を掲載します。)