2019.11.27 【IIFES2019特集】スマートファクトリーへの関心高まる
スマートファクトリー化が本格的に進み始めた(安川電機入間事業所ソリューションファクトリー)
製造業において「スマートファクトリー」への関心が高まっている。スマートファクトリーは工場内の生産設備とインターネットを接続し、可視化・最適化することで、生産性を大幅に向上させようというもの。生産設備をつなぐM2Mでは、「日本発」で通信規格を統一してグローバルスタンダード化する動きもある。
スマートファクトリーはドイツが提唱する第4次生産革命「インダストリー4.0」に端を発している。IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの技術によって生産性を革新的に向上し、コスト削減、商品の品質向上、労働時間や労働環境の改善など多くの効果をもたらす。
ドイツのインダストリー4.0を受け、日本政府は16年1月に「Society5.0」を打ち出した。経済産業省が、IT化や協働ロボットの普及などによって、製造現場をより効率化するための「コネクテッド・インダストリーズ」を提唱する。また米国の「インダストリアル・インターネット」、中国の「中国製造2025」など、第4次生産革命への取り組みが世界各国でも始まっている。
▼スマートファクトリーの効果と課題
インダストリー4.0を具現化したスマートファクトリー導入の効果は大きい。IoTを活用すると、産業用ロボットや製造装置の稼働状況を常に計測できるほか、インターネットを介して簡単に共有できるようになる。
工場の空調や生産設備のエネルギー消費は膨大だが、スマートファクトリー化に伴い導入される、エネルギーを効率よく活用するための工場エネルギー管理システム(FEMS)により、各設備の必要エネルギーを自動で把握でき、余分なエネルギーを使っている場合は供給を下げるなどの調整が容易になる。
半面で課題もある。導入コストが高額なことだ。多額の初期投資だけでなく、最新機器を操作する社員の教育コストも発生。また最新設備のメンテナンスが必要で、これは人の手によるところが多い。スマートファクトリー導入による費用対効果を最大化するには先行事例を手本にする方法もある。
▼進む中小企業のスマートファクトリー化
これまで大手企業主導で進んできたインダストリー4.0だが、ようやく中小企業でも普及の兆しを見せる。
中小企業が導入しやすいIoTの開発も進む。工場の既設のアナログ計器類をカメラで撮影し画像処理することでデータをデジタル化したり、後継者不足で悩む「匠(たくみ)の技」をソフトウエア化し、その技術を共有する企業も現れた。
コストがかかりすぎるなど、中小企業のIoT導入には課題も多いものの、 緩やかながら着実にインダストリー4.0が浸透している。
▼日本発、M2M規格の世界標準
スマートファクトリー推進においては、これまで異なるメーカー間の連携が難しかったため、生産設備をつなぐ(M2M)通信ルールを共通化して、どのメーカーの設備でも連携可能にしようとする動きも出始めた。
日本ロボット工業会は、半導体後工程装置と実装機のM2Mが進むことを想定し、SEMIの規格をベースに「JARAS1014」として表面実装機ラインのM2M規格を制定、18年6月に公表した。両者は同規格を「ELS」と呼称し、世界標準での普及を目指している。実装機は日本メーカーが世界市場の8割を占める。日本発の世界標準に期待が高まる。
【IIFES2019 特集】目次
●「SCF/計測展TOKYO」融合、日本の最新ものづくり発信
●スマートファクトリーへの関心高まる
●アズビル ものづくり自律化システムなど4つのゾーンで展示
●東芝インフラシステムズ コントローラと産業用コンピュータ融合の「Vmシリーズ」を参考出品
●横河電機グループ DXでつないでつくるテーマに顧客の課題解決を提案
●エヌエフ回路設計ブロック 業界最速インピーダンスアナライザ出展
●HIOKI 非接触で検出可能なCANセンサー展示
●NKKスイッチズ 耐振動・耐衝撃性優れる小型非常停止用押ボタンスイッチ
●七星科学研究所 充実のUSB2.0防水コネクタ
●サトーパーツ スクリューレス端子台など訴求
●東亜ディーケーケー 幅広いニーズ対応の水質計測器
●図研エルミック 工場のスマート化ソリューションなど提案