2021.12.22 太陽電池で「充電不要EV」実現へ沖縄の「赤瓦」代わりにも? 東芝が「タンデム型」の新技術

EVへの搭載のイメージ

 EVの屋根やボンネットに太陽電池を載せ、無充電で走る。そうした技術を目指し、東芝が開発を進めている。21日に発表したのは、「タンデム型」と呼ばれる太陽電池の技術。試算では、EVで約35キロの航続距離が達成でき、蓄電池も加味すれば、無充電で走れる領域に近づきつつある。25年度にも実用化を目指している同社。ちょっと変わったところでは、オレンジ色の屋根として沖縄風の建物などにも使える可能性があるという。

 タンデム型は、性質が異なる二つのセルを上下に重ねることで、幅広い波長の光を効率的に吸収。面積を広げずに効率的に発電することを目指す。今回、上部に当たるセルの改良に成功。全体の発電効率は27.4%と試算でき、Si太陽電池の世界最高効率(26.7%)を超えるポテンシャルが確認できた。

 東芝は、フィルムのような「ペロブスカイト型」も開発しており、軽くて曲げられる特長を生かし、主にビルの屋根や壁面などに向いているとみる。これに対し、タンデム型も軽量ではあるが、振動などへの耐久性も兼ね備えることから、自動車などモビリティー分野により適しているとみる。

 建物への利用も想定できる。「オレンジ色がかっているので、沖縄の方が受け入れてくださるなら、沖縄特有の赤瓦の代わりや、ヨーロッパの街並みによくある赤い屋根のような形で、活用いただけるかも」と担当者はいう。
(22日付の電波新聞・電波新聞デジタルで詳報します。)