2022.03.30 世界最速級の量子シミュレーター開発富士通、アプリケーション開発を加速
記者会見する富士通のヴィヴェック・マハジャン専務(左)と原裕貴常務
世界最速レベルとなる量子コンピューターシミュレータシステムが登場した。富士通が、スーパーコンピューター「富岳」の高速性と、量子計算に合わせたデータ再配置技術を組み合わせて開発。他社の量子シミュレーターの約2倍の性能を実現した。十数年先ともいわれる量子コンピューターの実用化を見据え、アプリケーションの先行開発が可能になり、金融や創薬など多分野での量子アプリケーションの開発が期待される。
量子シミュレーターは、1量子ビット増やすと必要なメモリーは2倍となるなど量子ビット数を増やすと必要なメモリー容量や計算回数が大きく増加するため、通常のコンピューターでの計算には限界があった。このため、これまでは30量子ビット程度が限度で、それ以上は膨大なメモリーや総計算時間が必要とされていた。
そこで富士通は、理化学研究所と共同開発した富岳のプロセッサ「A64FX」の高速性を生かし、新たな量子シミュレーターの開発に着手。大阪大学が開発した量子回路シミュレータソフトウエア「Qulacs」を高速に並列分散することで、36量子ビットの量子演算を実現した。(詳細は31日付の電波新聞・電波新聞デジタルに掲載します)