2022.05.16 デンオン機器 SMT実装リワークシステム事業展開 自動リワーク装置など製品拡充
自動リワーク装置「SDR-1000」
クラウドとAI活用のサポート体制充実
デンオン機器(東京都練馬区)は、SMT実装リワークシステム事業をグローバルに展開し、自動リワーク装置など独自のシステムを市場に提供している。
同社は今年で設立59周年を迎える。1963年に音響設備業務を目的としたデンオンを設立、82年にソルダリング・デソルダリングシステムの開発、製造と販売業務を併設。後に現社名に変更し、現在はリワークシステムを主力としたソルダリング・デソルダリングシステム事業を展開する。
リワークシステムは、プリント基板に搭載しているSMD(表面実装部品)や、BGA(ボールグリッドアレイ=SMT実装における半導体パッケージの一種)などの部品に不具合が生じた場合、不具合の部品を取り外して交換する装置。かつては基板をそのまま廃棄していたケースが多かったが、基板や部品が高額になり、最近は半導体不足の影響で部品を再利用するようになってきている。
渡邉愛士崇(ワタナベ・アジズ)社長は「当社は顧客の困り事解決のお手伝いをするソリューションを事業の目的にしている。プリント基板に搭載している部品に不具合が生じた場合、従来のようにプリント基板を廃棄せず、修理・再生(リペア)することは顧客の収益にもつながる。部品を再実装するリワークに、従来ははんだごてを使っていたが、部品を取り外し、新しい部品を再実装するリワークプロセスを自動化する技術と装置を開発し、当社の主力事業として展開している」と話す。
SMTリワーク装置として、RD-500V(最大基板サイズ500×700ミリメートル)、RD-500SV(同400×420ミリメートル)、RD-500VL(同680×800ミリメートル)、RD-500ds(ロット販売モデル)がある。基板表面の3ポイントオートプロファイルなど、温度管理プロファイリングに同社独自機能を備えている。0402部品やLEDのリワークにも対応している。
自動リワーク装置SDR-1000は、基板と部品をセットするだけで都度の位置指定やアライメント作業を省略した装置で、部品と搭載箇所の位置合わせは装置側でXY軸、θ、高さなどを全て自動で認識する。
アンダーフィル自動取り外し装置UF-100は、人による作業が困難なアンダーフィル付き部品の取り外しを自動で行う。このほか自動温調はんだごて、はんだ除去器、遠赤外線プリヒーターなど、ソルダリング・デソルダリングシステム製品を市場に提供している。
渡邉社長は「不具合が生じたプリント基板の部品を取り外す時や取り替えた部品で再実装する時に、その部品や周囲の部品にもダメージを与えないためには、温度管理技術が重要になる。この技術がスマートフォンなど、アンダーフィルの入った高密度実装基板の条件の厳しい顧客からも高い評価を得ている」と述べている。
顧客は国内のほか、中国、東南アジア、米国なども多く、売り上げの約7割を海外顧客で占めている。パソコンマザーボード、携帯電話、LED、EMSなど幅広い。
渡邉社長は「顧客へのサポート体制の充実が重要で、クラウドとAIを活用して、顧客のリワーク装置が常にベストな状態で稼働しているかを見える化するシステムの構築を進める。実装機などSMTメーカーとも連携したい」と、次の布石に取り組んでいる。