2020.01.01 【オーディオ/ヘッドホン各社の20年事業戦略】オーディオテクニカ 松下和雄 社長

松下和雄 社長

ヘッドホン、進化を継続

原音に忠実、高解像度で再生

 国内外の経済の先行きは不透明で懸念材料もあるが、当社は新たな中期事業計画をスタートさせ、グループの連携を強化、全社一丸となって新製品開発への積極的な投資、市場環境変化への対応、経営課題への取り組みにまい進している。

 当社は昨年、ヘッドホン発売45周年を迎えたが、その歳月の中で再生機器は様々に変化し、試聴環境やユーザーニーズも進化し続けている。発売したヘッドホンは数百種類にも及び、培われた技術は新製品に生かされ続けてきた。今後も進化を継続させて、市場をけん引していく。

 進化する製品生産のために、旧工場の能力増強や周辺エリアへのインフラ整備の拡充などを目的に、18年11月には台湾鐵三角中壢工場を竣工した。

海寧に新工場建設

 今年は、夏稼働を目指して中国・海寧(ハイニン)に新工場を建設中。敷地面積は2万平方メートル、延べ床面積は2万7千平方メートル。グループ最大の生産拠点となる。さらに物流の起点とすべく倉庫も準備している。

 昨年6月にはシンガポールの複合施設「Funan」にショールームを開設した。ファン層の多い、アジアにおけるオーディオテクニカ製品とブランドの体験・浸透の場として期待している。

 Webサイトのリニューアルも行い、オウンドメディアである「Always Listening」をスタートした。ユーザーにとって有益で魅力的なコンテンツを発信し、多彩な市場ニーズに応え、よりよい製品をお届けするために計画を立てて事業を推進していく。ヘッドホン市場はワイヤレス製品の比率が増え、完全ワイヤレスタイプが主流になる大きな変化を遂げた。

こだわりを持ち開発

 当社は音質追求と共に、電波環境、電池の持ち、軽量化、装着感など、こだわりをもって開発を進めている。昨年夏発売の「ATH-CKS5TW」は、他社とは一線を画した製品として評価いただいた。

 新製品は、多くの方により快適によりよい音を楽しんでいたくことを願って開発している。
黒檀ウッドハウジングの「ATH-AWKT」。アサダ桜ウッドハウジングの「ATH-AWAS」。ポータブルのウッドハウジングヘッドホンの「ATH-WP900」。

 世界初のハイブリッド型ドライバー構造採用のインナーイヤヘッドホン「ATH-IEX1」、ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン「ATH-ANC400BT」や、完全ワイヤレスで女性に好評の「ATH-CK3TW」など、当社が得意とする原音に忠実で豊かな低音域まで広帯域に渡って高解像度で再生できる新製品を用意した。今年も、皆さま方と共に業界を盛り上げ、共に発展していきたい。

【オーディオ/ヘッドホン各社の20年事業戦略】目次

オーディオ市場が目まぐるしく変貌
●オーディオテクニカ 松下和雄 社長
ヤマハミュージックジャパン AV・流通営業部 野口直樹 部長
マクセル 乘松幸示 取締役 ライフソリューション事業本部長兼キーデバイス事業部長
ラックスマン 川上晃義 社長
アキュフェーズ 伊藤英晴 社長
オーエス 奥村正之 社長