2022.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】データセンター事業者の投資額が拡大、ハイパースケールDC建設急増

ハイパースケールDCの建設が相次いでいる

 国内のデータセンター(DC)市場も急拡大が続いている。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が本格化し、第5世代移動通信規格5G、人工知能(AI)といったニューテクノロジーの台頭を背景に、データを利活用するデータドリブン(データ駆動)型社会を迎えた。政府もDC強化への抜本的な取り組みを開始した。DCのカーボンニュートラル(CO₂排出実質ゼロ)化の動きも本格化している。

 国内のDC事業者の投資額は、今後も拡大が続く見通しだ。IDC Japanが先頃発表した国内DC建設投資予測によると、2022年の投資額は前年比21.2%増の2236億円だった。

 23年には同約1.8倍で4000億円を超える見込み。23~26年も毎年4000億円を超える投資が続くと予想する。

 特にハイパースケールDCの建設ラッシュが続く。背景にはAWS、Azure、Googleなどのパブリッククラウドサービスの拡大がある。

 DCは大量のサーバーを利用するため、膨大な電力を使用する。環境対策はDCの最も重要な課題だ。使用電力削減では、AI制御の活用も始まった。また、再生可能エネルギーに切り替えて温室効果ガスの排出量を抑制するカーボンニュートラルへの取り組みも本格化している。

 DCには企業や政府の重要データが預けられている。サイバーテロの標的にもなりやすい。サーバー攻撃や物理的な被害の防御は、DCの絶対条件となっている。

 今後、注目されるのがDCのカーボンニュートラルへの取り組みだ。政府は、グリーン成長戦略で50年にカーボンニュートラル実現を宣言。30年時点で全ての新設DCの省エネ化、使用電力の一部の再生可能エネルギー化を、40年までにDCのカーボンニュートラル化を目指す方針だ。また、「デジタル田園都市国家構想」では地方への分散配置の提唱とともに、再エネ活用を求めている。

 NTTデータは、30年までに全ての自社DCの再エネ化を進めると同時に、100%再エネ化したDCのエネルギー消費を可視化するシステムを開発し、運用を開始した。今後、自社DCに順次展開していく。

 野村総合研究所(NRI)は、30年までに自社DCの再エネ利用率を70%に、50年には100%再エネ化を目指す。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、DCの再エネ化の動きを加速する。複数の発電所群、蓄電設備、需給制御などを組み合わせたカーボンニュートラルDCリファレンスモデルを提案している。

 データを利活用する本格的なデータドリブンの時代を迎えたことから、データの爆発的増加だけでなく、DCの電力使用量の増大は避けられない。DCのグリーン化は喫緊の課題であり、さまざまな省エネ技術を駆使したカーボンニュートラル化の取り組みに期待が高まる。