2022.09.09 河野デジタル相、公金受取口座情報の提供前倒し 大臣直轄チームで機動力発揮

オンライン形式の記者会見に臨む河野デジタル相=9日

 河野太郎デジタル相は9日に開いた記者会見で、「公金受取口座登録システム」に登録された国民の口座情報の提供を10月11日に始める方針を明らかにした。当初目標の2022年度中から前倒しして、給付主体の行政機関がいち早く口座情報を取得して給付金を支給できるようにする。加えて、国民の意見や要望を機動的に吸い上げる大臣直轄チームも発足。デジタル技術の恩恵を実感できる社会づくりを加速したい考えだ。

 デジタル庁は、所管省庁や各都道府県に対して事務連絡を実施。公金受取口座登録システムを使う準備ができた自治体から順次利用できるようにする。河野氏はシステムの周知に力を入れ、「さらに登録数を増やし行政サービスを改善していきたい」と意欲を示した。

 「公金受取口座登録制度」は、年金や児童手当などの給付金を受け取るための預貯金口座の情報を事前に国に任意で登録する制度で、公金受取口座登録システムは同庁が管理。登録は3月から、行政手続き申請の玄関サイト「マイナポータル」で行えるようにした。登録すると、給付金を申請する際の書類確認の手間が省け、迅速に受け取ることも可能だ。登録件数は現在、約1400万件という。

 6日には、大臣直轄の「機動的改善チーム」を5人体制で始動させた。同庁に集まった要望や意見を迅速に具体化するための部隊で、河野氏は「速やかに対応できるものに優先順位を付けながら、デジタル庁本体の枠を越えて、『忍者部隊』のようにどんどんできるものはやっていきたい」と強調。さらに同チームを「より充実した体制とし、デジタル政策を目に見える形で進めていきたい」とも力を込めた。

 また河野氏は、マイナポータルに登録した国民が閲覧できる情報を拡充する方針について言明。すでに医療機関で処方された薬剤情報や医療費などの情報を閲覧できるが、11日からは診療情報も確認できるようにする。「いつどこでどのような診療を受けたのか」が確かめられるようになるという。

 来年1月には「電子処方箋」の情報も閲覧できるようにする計画で、「場所や時間の制約を受けずにいろいろなサービスを受けられるようにさらに整備を進めていきたい」との考えも示した。

 「なるべく早くできるものは早くする。すぐできるものはすぐにやる。便利になるものはそれに向けて改善していく」と河野氏。今後も持ち前の突破力で、デジタル技術の導入効果を実感させる取り組みを促す構えだ。