2022.12.01 【テレビ特集】主要各社、大画面への買い替え促す

画質、音質を追求したテレビへの関心が高まっている

 今年も残すところ1カ月となり、年末商戦を見据えた家電流通の動きが活発化している。物価高が進行する中、テレビメーカー各社も、価格に見合った価値を提案するために、大画面有機ELテレビを中心とした訴求を強めている。薄型テレビの国内出荷台数の実績が、全体では前年割れとなる中、数の上でも主力となっている50型以上の大画面テレビに加え、高単価な有機ELの構成をどこまで高められるか。年末商戦を生かそうと各社は販促を強化している。

 国内のテレビ市場は、東京五輪・パラリンピック後の需要の一服感もあり、今年は市場に力強さが欠けている。電子情報技術産業協会(JEITA)の出荷統計では、今年1~10月累計の薄型テレビ出荷台数は、前年同期比9%減の389万4000台。前年を上回った月は7月と9月のみだ。

 ただ、50型以上では7月以降、前年同月を毎月上回っている。有機ELも1~10月累計で前年同期比0.9%減とわずかながら前年を割り込んでいるものの、テレビの中では最も健闘している。出荷台数は50万台を記録している。

 各社が製品化しているテレビは、高画質化と高音質化が加速している。360度の立体音響を実現するサウンドシステムを搭載するモデルも登場。コロナ禍により、自宅で過ごす時間が増えたことから、映像や音を楽しむ層が広がってきている。テレビも、こうした需要に応える開発が盛んだ。

 同時に、住空間に溶け込むデザイン性にこだわるモデルも開発されている。パナソニックは、チューナー部から映像を無線接続でモニターに伝送することで、壁掛けできるウォールフィットテレビを製品化した。テレビ台の上に置く通常のテレビとは異なり、「壁掛け」という空間を利用する形で、55V型と大画面でありながら4K有機ELと画質に対してもこだわり抜いている。

 テレビ各社は年末商戦での拡販を狙い、キャッシュバックキャンペーンを展開するなど販促を強化。大画面テレビへの買い替えを促している。

デジタル放送の日

 きょう12月1日は「デジタル放送の日」だ。2006年12月1日にデジタル放送推進のための行動計画が採択され、デジタル放送の発展と普及を図る目的で定められた。

 12月1日になった背景には、00年12月1日にBSデジタル放送が、03年12月1日に東名阪で地上デジタル放送が、06年12月1日に全国で地デジがそれぞれ開始されたことによる。

パナソニックの主力製品

「レイアウトフリーテレビ」(TH-43LF1)

「ウォールフィットテレビ LW1シリーズ」

設置場所の自由度高める

「ウォールフィットテレビ LW1シリーズ」

 パナソニックは、新しい住空間を実現するテレビを「くらしスタイルシリーズ」として提案を強めている。

 同社では、2012年に風呂などでもテレビ視聴ができる持ち運び自由な「プライベートビエラ」を発売した。昨年10月には4K放送の無線伝送を採用し、キャスター付きスタンドで自由に設置場所を変えられる「レイアウトフリーテレビ」(TH-43LF1)をラインアップした。

 また、新たに今年11月からは、石こうボードを使った壁であれば簡単に壁掛け設置でき、設置場所が自由かつ設置後の空間を自由にできる高精細4K有機ELテレビ「ウォールフィットテレビ LW1シリーズ」を発売し、ユーザーの暮らしに寄り添う新しいテレビの形を提案する。

 レイアウトフリーテレビは、業界で初めて4K放送の無線伝送によりテレビの置き方の自由度を高めた43V型液晶テレビで、テレビ(モニター)のアンテナ線接続を不要とし、電源ケーブル1本で自由に視聴場所を選ぶことができる。

 テレビ(モニター)はキャスター付きスタンドを採用し、壁に寄せたり、部屋の中央に設置したりと好きな場所に簡単に動かせるほか、リビングからダイニングへ移動させるなど、生活シーンに合わせて楽しめる。

 ウォールフィットテレビ LW1シリーズは、壁から画面までが約3.5センチメートルの薄型ディスプレーを採用した55V型壁掛けテレビ。4K映像を無線伝送できる独自技術によりモニターとチューナーを別体にしたことで、アンテナ端子の場所に縛られずに好きな場所にテレビを掛けられる。

 ディスプレーは高いコントラストと精細感のある4K有機ELを採用し、独自のパネル制御と人工知能(AI)を使った画質調整により、コンテンツに合わせて高画質な映像が楽しめる。

 壁と一体感のある設置をしても音質を損なわないようスピーカーも見直した。

 同社で初めて画面振動スピーカーを採用し、スピーカーボックスなどを付けずに音を出せる。独自の音声処理技術で、ボックス型スピーカーと遜色ない音質を実現する。

 これにより、モニター部は全面が薄型にでき、壁と一体になって取り付けられる。リモコンはブルートゥース方式を採用、モニターやチューナーにリモコンを向けずに操作できる。

 本体は従来の55V型テレビより重量を4割削減。新開発した壁掛け用の専用金具により、一般的な住宅に採用されている石こうボードの壁であれば特殊工具などを使わず、細いピンだけで簡単に壁掛け設置ができる。モニターからは白い電源コードのみが出ており、設置後の部屋のデザインも損なわない。