2022.12.05 メタバースやWeb3の可能性を探索 日立が方針表明 研究開発投資を強化
VR(仮想現実)対応ゴーグルを装着し、メタバース上に再現した原子力発電所に入る様子=5日、東京都国分寺市
日立製作所は、5日に東京都国分寺市の中央研究所で開いた研究開発・知財戦略説明会で、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用した経済活動の進展など、新しい潮流を踏まえた研究開発投資を強化する方針を示した。メタバースを産業分野に応用する可能性を探りたい考えだ。
説明会でCTO(最高技術責任者)を務める鈴木教洋執行役常務は、メタバースのほか、新しいネットの概念「Web3(ウェブスリー)」にも言及。この中で、デジタルトランスフォーメーション(DX)をめぐる新潮流を事業機会に変えるための開発投資を促す姿勢を強調した。こうした取り組みを、成長の柱と位置づけるデジタル事業「Lumada(ルマーダ)」の一段の進化につなげることを目指す。
新潮流を踏まえて鈴木氏は、新興企業(スタートアップ)との協創に注力することにも意欲を示した。「スタートアップへの投資や協業を通して、ビジネスモデルや必要なテクノロジーを探索する活動を強化していきたい」という。
例えば、鉄道やプラントなどの分野で培った制御・運用技術(OT=オペレーショナルテクノロジー)をメタバースに生かし、業務改革を実現する。メタバース上に再現した原子力発電所の現場情報を作業者と監督者らが共有し、調査ロボットによる保守作業を効率化するという展開を想定しているという。