2023.01.10 【製造技術総合特集】FA・製造装置業界、インドへの投資活発化 中国から拠点移行が増える 半導体やEVなど誘致に積極的
日系製造業のインドへの投資が活発になっている。FA・製造装置業界でもインドに進出する動きが顕著だ。特に2022年は中国のカントリーリスクが高まり、生産のグローバル拠点を中国からインドに移す企業も現れ始めた。
国連は22年11月に世界の人口が80億人に達したと発表した。インドの総人口は約14億人で中国と拮抗しているが、国連では23年には中国を抜いて世界トップになると予測する。
インド政府は「メイク・イン・インディア」政策を掲げて国内製造業への振興を図っている。
半導体、ディスプレーの誘致・育成を図る包括的な政策プログラムを22年に打ち出した。予算総額7600億ルピー(約1兆1400億円)と、これまでで最大規模の産業振興策を推進する。同プログラムでは半導体とディスプレーメーカーの工場誘致、化合物半導体・半導体パッケージや応用化学電池、通信ネットワーク産業の誘致と育成などを掲げている。
またEV産業の底上げを図るため、インド政府は22年から向こう5年間で2600億ルピー(約4000億円)を投じる。
JETRO(日本貿易振興機構)によると、日系企業は全業種で現在約1500社が進出しており、自動車産業を中心とする製造業が約半数を占める。
日系FA・製造装置企業もインド投資に関心を寄せ、工場進出などを始めた。
三菱電機は約31億円を投資し、マハーラシュトラ州プネに敷地面積約4万平方メートル、延べ床面積約1万5000平方メートルの新工場を建設。インバーターを中心とするFA制御システム製品を生産する。稼働開始は23年12月を予定。古谷友明執行役員FAシステム事業本部機器事業部長は「中国の工場は中国国内向けに絞り、インドをグローバルの生産拠点にしたい」と語る。
FA系では富士電機、安川電機、日本精工、THKなど、EMSではレクザム、カトーレックなどが既に進出し、生産活動を行っている。
レクザムの住田博幸副社長は「連結売上高の80%以上がエレクトロニクス事業で、7割を中国の2社が占めてきたが、タイ、インドの拠点の比率を上げ、グローバルでの生産対応を進めている」とインドへのシフトを打ち出す。
このほか実装機ではFUJI、ヤマハ発動機などがインドビジネスの拡大に乗り出している。FUJIは子会社「FUJI INDIA」(ハリヤナ州グルグラム市)を20年3月に設立した。JUKIはベンガルールに中心となる営業拠点を設けてデモセンターを併設。ムンバイ、デリーでも縫製機器事業の拠点を活用してビジネスを行っている。
22年9月にデリーで開催された製造装置展「プロダクトロニカインディア2022」(メッセミュンヘン主催)に日系実装各社も出展した。最先端の3次元はんだ印刷検査ソリューションを訴求したサキコーポレーションのサキアジアパシフィック・Jayson Moyゼネラルマネージャーは「インドを大きな成長の可能性を秘めた市場として捉えている。インドのOEMやEMS企業の頼れる技術パートナーになることを目指している」とインド市場に臨む。