2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】菱電商事 富澤克行社長

富澤 社長

幅広い領域でグローバル事業創出

 菱電商事は、三菱電機のFA・冷熱・ビル・半導体の総合代理店を事業基盤として、これら4基幹事業にICT技術を融合した幅広い事業領域でグローバルな事業創出会社として新しい価値の創造を目指している。

 2022年4月に創立75周年を迎え、6月にはトップ交代により正垣信雄代表取締役社長がシニアアドバイザーに、富澤克行副社長執行役員が新代表取締役社長に就任した。さらに23年4月1日付で社名を「RYODEN」に変更する。

 23年3月期第2四半期業績は、売上高・各段階利益はいずれも第2四半期として過去最高となった。

 富澤社長は「22年は75周年の節目の一年だったが、半導体や材料不足などを抱えながらも、総じて堅調に推移した。これまで取り組んできた新しい事業が成果を上げつつあり、23年はさらに加速したい。既存事業についても商材の拡大など顧客の変化に対応してしっかり固める」と方向を示す。

 同社の事業は多様・多角化している。工場向けネットワークカメラソリューション「FlaRevo(フラレボ)」は、食品工場をはじめとした各製造業への拡大により着実に売り上げを伸ばしている。

 スマートアグリ分野では、22年5月に次世代型植物工場「Block FARM」が竣工(しゅんこう)し、閉鎖型人工光植物工場として世界初のホウレン草の量産化に取り組んでいる。ハウス食品と協業し、植物工場を活用したハーブや葉物野菜の価値創りを進めるための共同研究を行っている。

 また、病院内のITシステムを一つのパッケージとして提供する課金型ビジネスにも乗り出した。

 アース環境サービスとの協業による「Pescle(ペスクル)」のサービスを22年10月から開始した。食品工場や店舗などにおける食の安心・安全に対する要求の高まりに対応し、センサーユニットと独自の人工知能(AI)で常時監視するシステムを提供する。

 セムテック(米国)との協業によるLPWAを活用したビジネスや、ゼロボード(東京都港区)との協業によるGHG(温室効果ガス)排出量削減を目的とした新たなビジネスも始めた。