2023.01.17 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エイブリック 石合信正社長
石合 社長
顧客との密着共創で新商品開発へ
エイブリックは、ミネベアミツミグループの中核企業としてアナログ半導体事業を推進している。2023年前半は景気後退が懸念されるものの、グループ全体での生産・開発体制の強化を推進。当初計画していた25年度(26年3月期)アナログ半導体事業売り上げ1000億円の目標を、24年度中に達成することを目指す。
22年後半からアナログ半導体市場は調整局面を迎え、高水準だった受注が低迷し始めた。中国ではノートパソコンやスマートフォン需要が落ち込み、同社が主力とするリチウムイオン電池保護ICの受注も減速。23年夏頃の需要回復を見込み、立ち上がりのタイミングを注視する。
ミネベアミツミグループの半導体部門長を務める石合信正エイブリック社長(ミネベアミツミ専務執行役員)は「23年の半導体全体の市場予想はガートナー、WSTSともマイナス成長を見込む一方、アナログ半導体はプラス成長を維持すると予想している。当社も堅調な成長を見込んでいるものの、取り巻く環境は厳しく波は高い。我慢と忍耐を続けつつ、さまざまな要因を好機と捉えアクションを起こす」と話す。
具体的に取り組むのが生産体制の強化。22年10月以降に量産開始した滋賀工場の本格立ち上げを進める。月産ウエハー2万枚の8インチ生産ラインが本格稼働すればグループ全体での能力は50%増となり、BCP体制も確立できる。政府による補助金を最大活用した設備投資も進め、千歳、高塚、滋賀の前工程、セブ(フィリピン)、秋田の後工程など、グループ全体での生産体制を強固なものにする。
社会課題の解決に貢献する新製品開発も加速する。ミネベアミツミ半導体部門の製品群は①リチウム保護②車載電源③相合活動(エイブリック・ミネベアミツミグループとの技術融合による製品)④MEMSセンサー・カスタム⑤IGBT⑥医療・高圧⑦磁気センサー⑧クリーンブースト--と多岐に渡る。トップ顧客との密着共創などを積極的に進め、新商品の上市とともに高収益商品への転換を加速する。
石合社長は「強固な体制を築いても活動するのは人。人を基点とする『人財ファースト経営』を実践し、企業の成長につなげていく」と話す。