2023.01.24 日本初の「寄付チェア」 早大とJX金属が連携 寄付の運用益利用
寄付チェアの制度設置を発表する両者
寄付金をもとにした運用益で教員を雇用する。欧米では盛んに見られる「寄付チェア制度」という仕組みを盛り込んだ連携を、JX金属と早稲田大学が24日、発表した。日本の大学では初めての導入という。連携して、サステナブルな銅への取り組み、使用済み車載電池のリサイクルなどの研究を検討する。
同社の村山誠一社長と、早大の田中愛治総長が会見した。両者の折半で5億円の基金を準備し、年間2000万円規模の運用益を見込む。若手の研究者の登用を見込んでおり、新年度にも募集などの活動を始める。
寄付講座や、寄付をもとにした教員の雇用といった制度は各大学にあるが、寄付などを使い切れば終わるのが基本。基金の果実をもとにしたこうした寄付チェア制度は、半永久的に続けることができる。
かつて、日本研究で知られた故ロナルド・ドーア氏が英国で教授を務めた際、日産がこうした永続的な仕組みで協力していた経緯があり、氏の後にも代々の教授陣が続いてきたという。
田中総長はこうした歴史も紹介し、「JX金属の名を冠したプロフェッサー(教授)が続いていけば」と展望した。JX金属の協力は画期的とし、今後1年ほどの間に6人程度の「寄付チェア」の教員を確保したい考えを示した。
また、大学との持続的関係に期待するJX金属は、「内外への企業姿勢の浸透など、さまざまな波及効果がある」(村山社長)と展望した。
両者は「カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの加速に向けて取り組む」と意欲を見せており、早大は今後、カーボンニュートラルをテーマに総合知の結集を図る大学院を構想している。今回の取り組みもその一環になりそうだ。
(26日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)