2023.06.06 【ITサポートサービス特集】富士通コミュニケーションサービス DXへの取り組みを本格化 CXの実現に不可欠

藏前 統括部長

 富士通コミュニケーションサービスは、企業と顧客の接点を改善して顧客体験価値(CX、カスタマーエクスペリエンス)を最大化するための支援を進める中で、今年度からCXの実現に不可欠となるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを本格化した。

 4月、全社横断的にDXを進めていく組織を新設した。これまで培ってきたDXの知見を集約するとともに、顧客のDX実現に向け一緒になって支援できるようにしていく。

 新設したのはDX推進統括部で、第一CX推進本部の傘下で顧客のDX支援と社内DXに取り組む。これまでは各事業部門でDXに取り組んできたが、CXの実現にDXが密接に関わっていることから、事業部門を独立させて本格展開することにした。

 DX推進統括部の藏前桂子統括部長は「CXの延長線上にDXがある」とし、これからは「CX実現に必要となるDXも一緒になって支援できるようにしていきたい」と話す。

 CX支援を強化していくため、主力のコンタクトセンター事業の基盤を刷新。ジェネシスクラウドサービスのクラウド基盤でサービスを始めている。

 ジェネシスの基盤は電話や電子メール、チャット、SNSなど、さまざまな問い合わせを組み合わせて顧客への対応サービスが可能。クラウドなのでコンタクトセンターのオペレーターがテレワークや在宅勤務することもでき、業務負荷を抑えながらサービス品質を高められる。

 現在、CXを向上させていくためにジェネシスの基盤を活用して実現できるサービスメニューを構築中だ。富士通とジェネシスとも連携してメニューを作り、顧客に分かりやすく提示できるようにしていく。

 藏前統括部長は「コールセンター=電話対応という概念を払拭したい」といい、音声やテキストなど多様化する顧客接点に対して最適な対応ができるように支援し、CX向上に貢献していく構えだ。

 数年来提案を強化している、コンタクトセンター運用などで培ってきたノウハウを体系化した「デザイン・フォー・CX」の導入効果を最大化できる取り組みも進める。

 CXは顧客との対応を行う現場の努力だけでは実現できない部分も多い。「デジタル技術を活用したシステムの構築や既存システムの利活用が求められる」(同)ため、社内に蓄積されているDXのノウハウを集約し体系化することで、顧客が現場で抱えている課題を解決する計画だ。

 同社は社内でDXの取り組みを進めており、年間5000時間の工数削減をした実績もある。顧客のDX支援の知見も多く、顧客が導入しているITツールの利活用を支援したり、顧客の現場が抱える小さな課題に対し解決の指南をしたりする事例もある。藏前統括部長は「現場レベルで気軽に相談を受け、課題解決しているケースもある」と語る。

 ただ、現場ごとに個別対応してデジタル化している案件も多いため、これらを集約して部門横断で活用。これにより社内DXをさらに加速させるだけでなく、顧客に提案できるようにする。

 DX推進統括部は、各部門でDX推進に取り組んできた人材が集まって設置された。「まずは社内に分散しているDXの知見を集め、可視化することでCXの下支えをできるようにする計画」(同)で、今年度後半に向けてサービスメニューなどを提示しながら顧客のCXとDXを実現できるようにしていく。