2023.07.11 【家電総合特集】富士通ゼネラル 中川陽介経営執行役常務
エアコンのIoT化を訴求
下期、暖房を軸に基本性能も
部材不足はほぼ解消し、中国もゼロコロナ政策を緩めたことで、中国工場からのルームエアコンの出荷も正常化している。また、生産はタイ工場を含む2カ国体制をとっている。昨年は上海ロックダウンの影響で夏の商戦期に製品を供給できない事態に陥り、シェアにも悪影響を及ぼしたが、今年はシェアも順調に回復している。
電気代の高騰が省エネ性の高いエアコンを買い求める傾向に拍車をかけている。自治体によっては省エネ家電の購入に補助金を出しており、エアコンが対象となっているところも多い。こうした補助金も省エネ機種への買い替えを後押ししている。
当社は、2027年を目標年度とする新しい省エネ基準を達成した「ノクリア」Wシリーズの販売に力を入れている。暖房性能も高く、清潔性にもこだわった中級機として提案しており、省エネ性の評価と合わせて販売は順調だ。Wシリーズ発売を記念し、先着1万個限定で別売りの無線LANアダプターをプレゼントするキャンペーンも実施している。
エアコンのIoT化は進んでいるが、現状の利用率はまだ決して高くない。IoT化の利点をもっと訴求できるようにするとともに、例えばスマートフォンがリモコン代わりになるような新たな提案がこれからは求められるだろう。
IoT化によって実現できる機能やサービスは少なくない。点検を兼ねた夏本番前の試運転は社会的にもだいぶ浸透してきたが、IoTについても使い方を訴求することで利用を広げたい。
コロナ禍を経て販売店への製品説明や研修などは動画で視聴してもらう形が定着した。ただコロナ前に力を入れていた売り場での暖房体験など、体験型の実演イベントの実施を冬に向けて検討していきたいと思っている。
下期は暖房を軸に基本性能を訴求していく。高級機であるX/Z/ZNシリーズには除霜運転中も暖房運転を継続する「バイパス暖房」を搭載し、訴求力を強めた。
除霜中に運転が止まると、故障と勘違いしたユーザーからコールセンターへの問い合わせも多くなる。また、ユーザーのエアコン暖房に対するストレスにもつながる。こうした事態を解消する上でもバイパス暖房は重要な機能。寒冷地ではエアコンの稼働状態に特に敏感だが、寒冷地以外でもニーズは強い。販売の2桁伸長が続く寒冷地とともに、標準地でも提案を強化する。
エアコンは年間900万台程度の市場規模とみている。物価高の影響は見通しにくいものの、下期も暖房に加え、省エネ、快適、清潔という基本を追求することで、販売につなげていく。