2020.02.28 次世代型のレジなし店舗 NECが報道陣に公開
「NEC SMART STORE」店舗外観
NECはこのほど、独自の顔認証技術を使いレジを通さないで決済ができる次世代型のレジのない店舗を報道陣に公開した。
新店舗は本社ビル内に12月5日にオープン。社内検証を進め2月21日から顔認証による決済の運用を始めた。顔を登録した社員は手ぶらで入店し好きな商品を持ちそのまま店を出るだけで決済を終えられる。今後本格的な運用を通じてデータを蓄積し、小売り流通をはじめ、他社への提案を進めていく。
本格運用を始めたレジレス型店舗「NECスマートストア」は、レジを通さずに決済ができる無人店舗(商品搬入や追加の人員のみ)で、入り口のゲートを顔認証で通過し、店内の欲しい商品を手に取ってそのまま出店するだけで買い物を終えられる。
店内には天井などに約30台のカメラを設置し、重量の図れる商品棚と組み合わせて、手に取る商品を特定する。店内にはおにぎりやサンドイッチ、パンなどの食べ物のほか、水やジュース、コーヒーなどの飲料、菓子類などが並ぶ。約200商品を取り扱っているという。
実際の利用は簡単で、あらかじめ顔認証システムに自身の顔を登録することで顔と社員IDを紐づけるのみ。店舗入り口にいるコミュニケーションロボット「パペロi」が出迎え、入り口に設置したカメラで顔認証しゲートが開く。入店後は通常の買い物と同じで、欲しい商品を手に取るだけでよい。あとはそのまま出店すれば買い物は終わる。店舗外には購入履歴を確認できるタブレット端末も設置し、購入履歴を確認できる。
商品は画像認識と重量のセンサーで特定するため、商品自体に細工をする必要はない。一度手に取った商品を商品棚に戻したり、他の場所においてもほぼ間違いなく認識できるという。
12月の開店以降、延べ約8000人で画像認識による手ぶら決済の実証を行い、実運用できる段階まで精度が高まったことから本格運用に移った。現状1日約200人の利用に対しエラーは多くて1-2人程度だ。
店舗はNECグループの社員食堂や売店など福利厚生関連事業を行うNECライベックスが運用する。第一リテールソリューション事業部・川見秀樹事業部長は「新店は社員がサンプルとなり運用、実際に買い物をしたときのデータを取っている。より心地よく買いやすい店舗を目指した」と話す。
まずは社内での運用を進め、オフィスや工場など特定の人が利用するマイクロマーケット向けに提案していく計画だ。
NECは06年に次世代型小売り店舗を目指し、ラボを開設し研究を進めてきた。18年12月にはセブン-イレブン・ジャパンと共同で顔認証を使った無人レジの実証店舗をオープンし、検証を進めてきていた。今回は「並ぶことなくストレスフリーで購入できる店づくりを目指した」(川見事業部長)という。
自動販売機とは違う店舗ならではの楽しさの追求にも取り組んでおり、今後は省人化の時代に合わせた店舗開発をさらに進めていく構えだ。(3月2日付情報通信面に掲載)