2020.03.26 みんな電力が新事業 オフィスや店舗の空気環境の改善対策提案
浮遊菌検査を行う様子。
新型コロナ感染拡大で職場の環境意識の高まり追い風に
新電力ベンチャーのみんな電力(東京都世田谷区)は、法人向けとしてオフィスや店舗内の空気環境について検査や改善提案をする事業に乗り出した。
空気中に浮遊する菌類量をデータとして可視化することで空気環境を「価値化」し、集客PRや従業員らへの福利厚生に役立ててもらう狙い。新型コロナウイルス感染拡大で、職場や事業所で衛生管理の意識が高まる中、注目を浴びそうだ。
サービス名は「みんなエアー」。同社が電力小売り以外に参入するのは初めてだが、既に複数の問い合わせが寄せられているという。
コンサルタント事業として、オフィス内などの空気を集め、空気中に浮いた菌類を採取。専門の検査機関で浮遊菌の有無や量、変化などを調査してデータ化する。
それをもとに、同社が適切な改善方法を提案。ニーズに応じて室内の香りの演出などもサポートする。改善に向けた一部の機材も販売する。
例えば、空気中に舞った菌などを紫外線で不活化できる装置の設置や、殺菌スプレーの導入などを呼びかける。室内の配置や間取り、素材なども提案する。
検査対象は、ブドウ球菌や糸状様真菌などの19種。人体に影響を及ぼし病気やアレルギーなどの原因になり得る代表的な菌類を選んだ。
流行している新型コロナなどウイルス類は対象としないが、「将来的にサービスを拡大させていく中での検討課題」(同社)としている。
同社は、再生可能エネルギーとブロックチェーンを結び付けた技術が売りで、どこの発電所の電気を購入したかが分かる「顔の見える電力」サービスを提供している。
創業者の大石英司社長が持つ「電気のように当たり前のものを『見える化』しようという発想」(同社)から、今回、「空気の見える化」の事業化に至ったという。
需要など不透明な部分も多いが、既に18年12月に東京都渋谷区にある児童福祉施設でサービス提供したところ、「改善させたことで保護者の安心向上に役立った」といった反応が寄せられたという。
サービスが広がれば3年後をめどに、ブロックチェーン技術を使って、空気環境を店舗ごとにマッピングして消費者らに提供するサービスも構想している。新型コロナウイルスは、空気環境に関心が高まるトリガーにもなった。
同社は「店舗が空気環境の状態を公開していることを『価値化』できる」サービスだとし、「利用者が、気分次第で好きな空気環境の店を選べる社会を実現したい」と話している。コンサルは1件3万7200円から。20年度に1000施設での提供を目指している。