2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 ダイヤモンドエレクトリックホールディングス 小野有理社長
小野 社長
顧客との接点づくりに努力
昨年10月に中長期経営計画「炎のスクラム」(2023年10月~28年3月)を策定しスタートさせた。
真の公器を目指し、持続可能な成長を描く新たなビジョン「車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ」を掲げ、自動車機器、エネルギーソリューション、電子機器の各事業を拡大。28年3月期(27年度)のターゲット売上高2000億円、コミットメント売上高1500億円、営業利益率6%以上、ROE20%以上の目標をやり切る。
スタート年の23年度の売上高、営業利益が電子機器事業における販売減少の影響を受けて期初予想を下回る見込みとなり、ラグビーのノーホイッスルトライを取られたような筆舌に尽くしがたい苦しい思いだ。電子機器事業のお客さまの在庫消化などの情報をつかみ切れなかったことにあるとみて、昨年11月にお客さま接点創造室を設けた。お客さまとの接点をつくる努力をしよう、あきらめずにやる執念を持とうと、全社に呼び掛けて実行に移している。
電子機器事業は、お客さまのグローバル展開への追従および寄与により、国内エアコン用リアクター市場シェア1位、主要お客さま内占有率トップ3の獲得を目指す。現在の約2倍の800億円を売り上げたい。主力工場のベトナム、タイの組み立てラインの省人化を進め、ライン人員を品質保証に移し、不良率ゼロのモノづくりを加速する。
自動車機器事業は、お客さま要求と地球環境の要請に寄り添う技術開発を背景とした市場占有率向上と収益構造改革に取り組む。絶対なくならない点火コイルはシェア世界ナンバー1を目指す。
収益構造改革、車載電装品・電子部品のお客さま採用戦略遂行のほか、耕運機やボードから社会実装を目指すアンモニア燃焼技術は開発促進および協業に取り組む。
エネルギーソリューション事業は、お客さまとの信頼関係に基づき、共同販売戦線を構築し、社会インフラの確立を目指した製品開発を促進する。東京電力ホールディングスと、家庭におけるV2Hシステム、蓄電ユニット、太陽光発電を制御する多機能パワコンシステムを共同開発している。蓄電システムは東日本一円をネットするエネルギーサプライヤーのサイサンでも販売することになった。増産は栃木工場で行う。自動車機器事業、エネルギーソリューション事業ともに350億円プラスαの売り上げが見えてきた。