2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 京セラ 谷本秀夫社長
谷本 社長
AIなど活用でチャレンジ
2029年3月期(28年度)売上高3兆円、税引前利益率20%の長期ビジョンに向けて、23年度に中期3カ年経営計画をスタートさせた。
25年度売上高2兆5000億円、成長軌道への回帰を通じて、京セラグループで税引前利益率14%の目標を掲げ、グループ全体にチャレンジ精神を取り戻す成長ステージだ。
23年度は取り巻く状況が大きく変わり、計画通りにいかなかったが、30年までみると、生成AI(人工知能)がスマートフォンの落ち込みを補って余りある成長エンジンになるとみているので、半導体関連事業に集中投資する基本線は変えない。
足元は半導体市場の減速で投資を後にずらすなどしているが、工場建設や設備発注は予定通り進めている。半導体製造装置メーカーも半導体市場は24年度横ばい、25年度はこれまで以上に伸びるとみられ、24年度売上高横ばいだが、25年度に備えてつくり込みされるところもある。
半導体向け以外では、24年度は自動車向けが伸びる。サーバー向けは23年度より伸びるが、グッと伸びるのは25年度だろう。パソコン向けも23年度よりは良いが、以前のような伸びはないとみている。スマホ向けは厳しいだろう。
必然的にチャレンジングなことをしていかなければならない。新しいことをいろいろとやることがチャレンジにつながる。人手のかからないスマートファクトリー化も、新しくつくる工場でチャレンジしていく。幸いロボットやAIでそれが可能になってきた。
モノづくりに携わる社員が全社員の半分を切り、AIを活用した間接部門の合理化にもチャレンジする。20年に生産性倍増とDXの組織を合体して発足させたデジタルビジネス推進本部でAIを導入し、3割から5割効率アップできている。冬のボーナス支給日の私のあいさつをAIにさせた。あらゆるところにAIを使っていく。研究開発はメインのセラミックスなどは自前だが、周辺はコーポレートベンチャーキャピタルのようなものをつくって社外に任せ、管理はAIを使いスリム化する。
成長がなければチャレンジも生まれない。京セラフィロソフィーに沿ってコアコンポーネントや電子部品、ソリューションに加え、商業用インクジェットやロボティクス、再生可能エネルギーなどの新ビジネスも成長させていく。電子部品と工具の弱いところはM&Aで補強したい。