2024.01.25 「生成AI一色」ではないCES 実装は着々、新興もニッチで期待

レノボのブース

とがったガジェットも登場したとがったガジェットも登場した

新興のブースを訪れるナデラ氏(同社のSNSから)新興のブースを訪れるナデラ氏(同社のSNSから)

 生成AI(人工知能)の急速な普及の中で迎えた今回のCES。事前の観測のような「生成AI一色」と受け止めた来場者は、多くなかったようだ。主催者の全米民生技術協会(CTA)が「AIは基盤」と説明するように、生活からモビリティーや産業まで、さまざまな場面に浸透しつつあることが示され、直接・間接に何らかの形でAIと関係するものが大半。いわば、これまでの延長だ。

 背景にエッジ(端末)側で処理できるAIのニーズがある。そんなデバイス類が多く見られたベネチアンエキスポ。レノボは「AI for All」のビジョンの下、AIを活用した40を超えるデバイスとソリューションのラインアップを出品した。中小企業向けにAI PCなどをアピール。多額の投資や設備をせずにAIを業務に取り入れられるよう、プログラミングコードの生成や画像の作成など、プログラマーやデザイナーらの作業負荷を軽減する。

 スマホもCESに合わせるように発表が見られ、会期後ながら韓国サムスン電子は旗艦スマホの新型を発表。AIを搭載し、同時翻訳などができる機能を訴求する。こうした端末類の進化は波及効果も大きい。

 大手ももちろんだが、ニッチな市場に取り組むスタートアップにとっても、AI活用は魅力的だ。香港のスタートアップ「AIガイディッド」のブースを、米マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが訪れた。視覚障害者の誘導を支援する機能のあるベルトを手掛ける。同社は早速、SNSにその模様を投稿してアピールした。

 ハードとしての「モノ」にAIを搭載するトレンド。それが顕著だったのは、モビリティーや家電も同様だ。LGエレクトロニクスは「AI利用が広がり、そうした言葉さえなくなる可能性がある」との見方を披露した。

 ただ、課題についても専門家らが議論を展開した。IEEEの開いたセッションでは、AIが雇用に与える影響などが議論された。「AI、自動化が進めば、人は考えることがますます少なくなる可能性がある。創造性やイノベーションがより求められる」といった意見が出た。(CES取材班)

(26日以降の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)