2024.01.26 「メタバース」はすでに浸透か CESではMRデバイスなど相次ぐ
シフトールは、出品した製品を身にまとってデモも
国内では昨年来、「メタバース」といった言葉は一時ほどもてはやされなくなったが、CES 2024では、没入感を高めるメタバース、またxR(仮想、拡張、複合現実など)の浸透がみられた。リアルな没入感を目指した製品や技術展示が目立ち、製品だけの体験でなく、空間そのものの質を向上させるための映像体験の提供も注目の一つとなった。民生から産業面の活用も広がっている。
そんな代表の一つはキヤノンUSAのブース。VRヘッドセットを使ってVRとMR形式の自由視点映像を複数人が、自由な視点で同時視聴する体験展示を初披露した。100台以上のカメラを使い、アリーナなど空間全体を3Dデータ化。観客は、まるで自分が「巨人」になったようにスタジアムを俯瞰(ふかん)したり、競技場で選手のすぐ脇にたたずんだりできる。米国で人気のあるバスケットボールでデモを披露するなどした。1人ではなく複数人で体験を共有できる。
スポーツチームが、選手とファンの新しいエンゲージメントを構築したり、米国で人気のあるスポーツバーのような施設でエンタメとして活用してもらったりと、多彩な展開が想定できる。
デバイスを手掛ける中国XREAL社が、クアルコムなどとの協業を発表したのも、B2CだけでなくB2B、産業も想定した取り組み。遠隔会議支援などへの展開を目指す。
パナソニックグループのブースに出展したグループのスタートアップ企業「Siftall(シフトール)」は、開発中のVR関連機器3製品を出品した。
出展は技術や製品の披露に加えて、パートナー企業探しの機会としての役割も大きい。東京大学発のスタートアップ、シナスタジア(東京都中央区)は、乗り物に後付けして使えるXRの製品「RideVision」を出品。自動運転のアルゴリズム開発から生まれたもので、車酔いせずに乗り物と連携して使えるところがポイントだ。
製品単体の映像の美しさの追求や、空間そのものの快適さの向上へのアプローチなど目指す方向はそれぞれ。ちょうど、米アップルのデバイスがCESに合わせるように発表された。各社でデバイスの開発競争が展開され、グラス型などより軽量化を目指す動きも進む。
(29日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)