2024.03.08 「EV、AIを原動力に」 電子部品各社、24年は増収増益へ
電子部品各社は、24年も車載事業の堅調な伸びを見込む(スミダコーポレーションのゲート電源用絶縁トランス)
電子部品メーカー各社が、電気自動車(EV)や人工知能(AI)、エネルギー関連を軸に、2024年(1~12月)は成長を目指している。23年は、景況悪化で多くの企業が期初の計画を下回る業績となったが、24年は大半の企業が増収増益を計画している。
12月期決算の電子部品各社は、通期業績予想の下方修正を期中で余儀なくされた企業が多かった。売上高は、想定以上に為替の円安が続いたことで増収となった企業も少なくないが、営業利益は多くの企業が期初計画を下回り、営業赤字を計上した企業もみられた。
収益面では、景況悪化による稼働率低下に加えて、原材料価格の高止まり、グローバルでの人件費やインフラコストの上昇なども利益押し下げ要因となった。中国スマートフォン市場での低価格機比率の上昇や中国EV市場での競争激化も収益性低下につながった。
そうした中、23年に売上高・営業利益ともに過去最高となったスミダコーポレーションは、EV関連や太陽光発電などのグリーンエネルギー関連分野でのビジネス拡大が業績をけん引。マブチモーターは、売上高が前年比14.0%増、営業利益が43.5%増と大幅な増収増益となり、自動車生産回復などで主力の自動車電装機器用モーターの販売が伸びた。
24年の連結業績予想は、大半の企業が増収増益を計画。足元の部品受注状況は、24年1~3月を底に市況の回復が見込まれている。
また、中国関連の需要は、中華系スマホ市場が回復傾向にあるものの、「中国の経済状況は厳しく、急激な回復は期待しにくい」とみている企業が多い。中国経済の先行きの不透明さが懸念されているが、成長分野へのビジネス展開や新規事業の創出に取り組むことで、電子部品各社は24年も事業を拡大させる方針だ。
(11日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)