2025.02.27 【複合機&プリンターソリューション特集】環境対応と再生複合機の動向 循環型社会対応の商品づくり加速
環境性能を高めた複合機が相次ぎ登場
複合機各社は、部品のリユース率を高めた再生複合機を相次ぎ発売するなど、循環型社会に対応した商品作りを加速している。また、生産拠点での使用電力100%再生エネルギー化、さらに生産、物流面の協業も本格化させている。
リコーは、部品リユース率などを大幅に高めたA3カラー再生複合機「RICOH IM C4500F CE」「同IM C3000F CE」を1月21日から国内販売を開始した。順次海外展開する。会見でリコーデジタルプロダクツビジネスユニットの成海淳WP事業本部事業本部長は「リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへ転換していく」と、環境型モノづくりへの転換を強調した。
同商品はAGV(無人搬送車)やロボットなど、再使用部品の選別、再生、検査を効率的に行う技術を活用し、質量比で従来機の81%のリユース率を上回る平均86%の部品リユース率を実現した。また、原材料調達、生産工程、輸送、使用、廃棄・リサイクルから成るライフサイクル全体の環境負荷を、新造機と比べて約59%削減している。
複合機の内蔵ソフトウエアをバージョンアップすることで、機器に新しい機能をネットワーク経由で追加できる仕組みを、再生機として初めて採用した。
同社では「CE(サーキュラーエコノミー)」を機種の名称に使用し、環境循環型複合機として販売を強化していく。
富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、再生複合機として業界最多となる12機種を商品ラインアップしている。昨年7月に発売したA3カラー複合機の「ApeosPort-Ⅶ CR」シリーズは、部品リユース率最大84%(重量比)を実現、新品として品質を保証している。同社では、早くから商品のライフサイクル全体を視野に入れた循環型システム「クローズド・ループ・システム」を構築。大手企業から中堅・中小企業まで幅広いお客の再生機活用ニーズに対応し、資源循環を促進している。
キヤノンでは、部品のリユース率を約95%まで高めた再生複合機の発売を開始した。回収した複合機の稼働年数や故障履歴、プリント枚数などの稼働データに基づいて、部品の再使用の可否など自動判定することで実現した。また、25年に発売する複合機やプリンターの新製品の一部から、再生鉄(電炉鋼板)の採用を開始する。回収した複合機からの鉄スクラップの純度を高め、複合機の採用を可能にした。同社では、複合機に占める再生材料の比率を30年には50%に高める。
セイコーエプソンは「エプソンのスマートチャージ」戦略を展開。インクジェット方式の特徴である低消費電力などにより、環境負荷低減を実現するラインインクジェット複合機に注力している。昨年10月には、お客から回収した複合機を自社工場で再生させたリファービッシュ(認定整備済み製品)モデルをエプソンのスマートチャージに初めて対応させた。
また、乾式オフィス製紙機の新型PaperLabによる自治体と紙資源循環スキームに取り組んでいる。
コニカミノルタは、使用済みプラスチック材料を再利用するアップグレードリサイクル技術を開発、自社製品に使用すると同時に、社外展開も開始している。
海外で高まる環境規制に対しては、富士フイルムBIが欧州のESPR(エコデザイン規制)に対応するため、オランダに欧州で販売する複合機の使用済みトナーカートリッジの回収、再生拠点を開設している。