2025.04.17 NICTとソニーセミコン、実用的VCSELの開発成功 世界初、光ファイバー通信に使用可能
情報通信研究機構(NICT)とソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)は共同で、光ファイバー通信に使用できる実用的な面発光レーザー(VCSEL)の開発に世界で初めて成功した。
VCSELはレーザー光を垂直方向に放射する半導体レーザーの一種。チップ表面に垂直な方向に光を放出する点が、通常の半導体レーザーとは異なる。
量子ドットを利用
開発したVCSELは、量子ドットを発光材料として利用する。光ファイバー通信システムにおいて光源の小型化や低消費電力化が可能になるほか、大量生産による低コスト化、集積化による高出力化も期待できる。
通信分野では低消費電力で大容量のデータ伝送が求められ、特に光通信で、VCSELがその要件を満たす技術として注目される。しかしVCSELは波長850ナノメートルや940ナノメートルの近赤外領域で使われるのが一般的。既存の光ファイバー通信で使用される1550ナノメートルの長波長で動作するVCSELの開発にはいくつかの技術的な課題がある。
長波長のVCSELは、短波長のものに比べて材料の選択や構造設計が複雑。また、VCSELの高出力化と高効率化を実現するには、1550ナノメートルで高効率に発光する工夫が求められる。
両者は今回、量子ドットと呼ばれるナノスケールの半導体粒子を発光材料として利用し、光ファイバー通信に利用される波長の1550ナノメートル帯用VCSELの電流駆動に世界で初めて成功した。<... (つづく)