2025.05.14 応援購入サービスのマクアケ 「事業成長パートナー」に向けた成長戦略に迫る

インタビューに応じるマクアケの中山亮太郎社長

 新しい商品や体験の応援「Makuake(マクアケ)」で快進撃を続けるマクアケ(東京都目黒区)の中山亮太郎社長。25年9月期から3カ年の中期経営計画には、「事業成長パートナー」へ進化する目標を掲げた。中山社長が描く成長戦略に迫った。

 「楽しみとしての購買体験」を強め、「見れば見るほど使い続けたくなるメディア的な存在で、購買や体験価値を生み出す生活の導線」へ――。2013年5月の創業から13年目を迎えた今、そんな成長戦略を描くのが中山社長だ。

 中山社長は、資金調達のためのクラウドファンディング企業ではなく、中計を通じて事業成長パートナーへと変貌を遂げる決意を強めている。

 「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」というビジョンを掲げる同社。

 中山社長はその実現に向けて、クラウドファンディングによる先行販売だけでなく、事業者との継続的な関係を築いていく取り組みを重視。スタートアップから大企業まで価値を生み出す事業にフォーカスし、新たな商品やサービスを一般市場に流通する前の場所「0次流通」を舞台にイノベーションを促す決意を述べた。

 既に同社は、成長が見込まれる0次流通を開拓する実績を積み上げ、マクアケで事業者が先行販売する商品・サービスのプロジェクトは累計で4万4000件に到達。そこで累計会員数は同約300万人超に達した。

 中山社長は「マクアケは新たな商品や体験の『プラン』作りから始めて『デビュー』させ、一般市場に流通させる『グロース』を一気通貫で支援できることが強みだ」と強調。これらを生かして培った経験をベースに、一段の事業成長を目指すことに意欲を示した。

 4月には、こうした展開に弾みをつけようと、マクアケ内に蓄積したプロジェクトデータや会員の購入データを新商品の開発や販売促進に役立てるリサーチサービス「Makuake インサイト」の提供を始めた。プロジェクトを実行する事業者にパートナーとして寄り添い売り場の提供から販売拡大まで一貫支援するサービスだ。

 マクアケのサポーターは、購買活動への関心が高い傾向にある。中山社長は「日常生活で必要な商品を作業的に買う体験よりも、購買を楽しむ体験を強めたい」と強調。「欲しいものや新しいものが発見できる小売り・流通の場」を目指す考えも示した。

 今後は、マクアケに新商品を掲載する前の審査や掲載情報の作成に、AI(人工知能)を取り入れ、プロセスを効率化する展開も視野に入れているという。