2025.05.23 台湾の熱設計企業、「水冷」サーバーで一気にブース拡大 自動車分野で日本と連携の可能性も

ホール入口近くに位置するAurasのブース

インタビューに応じた陳氏インタビューに応じた陳氏

モジュール化した冷却装置。取り外しても全体は稼働し続けるモジュール化した冷却装置。取り外しても全体は稼働し続ける

 熱管理ソリューションを手がける台湾Auras(オーラス)が、同社史上最大規模で出展したICT見本市「COMPUTEX(コンピュテックス)」(台北市)のブースが話題を呼んでいる。技術トレンドの液体を使って冷却するサーバー向け製品を展開し、今回一気に注目を浴びた形だ。昨年出展していなかったものの、ホール入口近くに広いブースを設け、多くの来場者が訪れていた。

 同社は熱管理に関するトータルソリューションを手がける。コールドプレートの中に水や冷却液を流す「水冷」方式でサーバーを冷却する製品は、昨年から本格的な量産出荷に入った。マーケットシェアも高く、同社の陳玉玲氏によると「水冷ソリューションで現在約20%のシェアを占める。導入したばかりなので、今後さらに増える可能性もある」という。それもあり、今回サーバーメーカーも数多く集うコンピュテックスに出展したことがうかがえる。

 こうした動きは、データセンターで使う半導体の演算量が増え、発熱が社会課題となっていることと並行するものだ。世界をけん引するエヌビディアも、昨年から展開している同社の先端アーキテクチャー「Blackwell」以降、GPU(画像処理半導体)搭載サーバーの冷却には水冷を推奨している。

 サーバーベンダーを始め水冷に関するソリューションを訴求するさまざまなメーカーの中でも、同社の強みについて陳氏は「カスタマイズが得意なこと」を挙げる。部品から組み立てまでコンポーネント全体を手がけているため、顧客の要望に応じた対応がしやすい。

 ブースでは、冷却装置をモジュール化することで、一部に不具合が生じて冷却が止まっても、システム全体として機能し続けるソリューションを展示。24時間稼働も必要になるデータセンターでは重要な観点だ。

 日本市場では現在、サーバー冷却に関連する製品を同社は展開しておらず、ノートPCの冷却モジュールの提供が主になる。しかし、今回ADAS(先進運転支援システム)に伴う要求から自動車の液体冷却に関する展示もあり、自動車分野に強みを持つ日本メーカーと協業する可能性を否定しなかった。