2025.07.14 日体大柏高で「不安」に向き合う授業、経営支援のIT企業が指南
ワークショップを進める生徒たちと、マイクで指示をだす須賀氏
米トランプ政権の関税政策などの不確定要素が産業界の現場を揺さぶり、物価高や人手不足で苦境にあえぐ中小企業にも影響が及びつつある。そうした中で、多くの企業経営者の課題に寄り添うITソリューション企業のTechnologyDock(テクノロジードック、和歌山県有田川町)が日本体育大学柏高校(千葉県柏市)で、「不安の可視化と圧縮」と銘打つユニークな授業を開いた。
◇ ◇
同校で9日から2日間開いた今回の授業には、3年1組と2組から計約70人の生徒が参加した。
生徒たちは、同社の須賀孝太郎氏による講義を受講。ワークショップでは、情報通信技術(ICT)を活用した学習支援ツールを活用しながら、日常に潜む不安の解消策について考えた。
授業を考案した須賀氏は「さまざまな経験を持つ中小企業の社長から不安の声を多く聞いてきたが、彼らが行動を変えることは難しい。子どもに不安との向き合い方を伝えれば上手に吸収してくれるのではないかと考えた」と説明した。
須賀氏は人間の心理を分析する「進化心理学」に触れ、「不安はもともと生存を勝ち取るためのセンサーだった」と説明。その上で、不安への向き合い方について伝授した。
講義では、不安をコントロールし自分の能力を最大限に発揮するためには、「社会の構造や変えられない現実を理解し、適切に振る舞うことが重要」と力説。さらに、「女性アスリートのキャリア」や「お金と幸せ」をテーマに意見を交わすワークショップも開いた。
授業に参加した男子生徒(17)は「不安と向き合うことは自分と向き合うことだと分かった。他の人と話し合いを進めるうちに多角的な視点を得ることができた」と感想を述べた。
同社は、資金調達や経営指標をリアルタイムで可視化する会計システムなど、さまざまなITソリューションの提供を通じて企業の経営戦略をサポートしてきた実績を持つ。こうした取り組みを通じて経営者の不安解消を支援してきた1人が、同社の神山裕介社長だ。
神山氏は授業前に取材に応じ、「漠然とした課題を突然突きつけられた際、その先にどうするかを考えて欲しい」と強調。授業をきっかけに課題に向き合う意識が醸成させることに期待感を示していた。