2025.07.18 ラピダスが試作ウエハーを初公開 ライン稼働から3カ月で

初公開した2ナノメートルウエハー(提供:ラピダス)

北海道千歳市のIIM-1外観(提供:ラピダス)北海道千歳市のIIM-1外観(提供:ラピダス)

 最先端半導体の国内量産を目指すラピダスは、回路線幅が2ナノメートルの試作品の動作を確かめたと発表した。北海道千歳市の製造拠点「IIM-1(イーム・ワン)」で4月に試作ラインを稼働し、回路のパターンを露光・現像していた。試作品を通じて量産化に必要な技術力をアピールし、顧客獲得にもつなげたい考えだ。

 同社は18日、IIM-1で製造した2ナノメートルプロセスのGAA(ゲート・オール・アラウンド)トランジスタの試作について、正常に動作していることを確認。試作したウエハーも初公開した。

 並行し、今年度中に設計データをまとめた「PDK(プロセス・デザイン・キット)」を顧客に先行公開し、試作できる環境を整える計画だ。  

 政府はラピダスに対して、これまでに累計で1.7兆円超に上る支援を決めてきたが、民間資金はトヨタ自動車やソニーグループなどの主要8社による73億円の出資にとどまる。  

 量産化に向けては、さらに3兆円以上の資金が必要とされる。それだけにラピダスは資金調達に躍起になっており、追加出資の呼び水にしたいという狙いも、試作ラインの稼働から間もない成果発表から透けて見える。

 同社は22年8月に設立。政府の支援を受けて、最先端のロジック半導体の受託製造を目指している。北海道千歳市に工場を建設し、27年の量産開始を計画している。