2025.07.24 「看護DX」でアワード創設 医療支援のイノシアが最優秀賞

看護DXアワードの表彰式に出席した受賞者たち

 看護師が主体となって進めるデジタルトランスフォーメーション(DX)の優れた事例を表彰する「看護DXアワード2025」が創設され、第1回となる表彰式が東京ビッグサイト(東京都江東区)で行われた。最優秀賞に選ばれたのは、医療現場のDXを支援する三井物産子会社のイノシア(同港区)が手がける看護記録支援システム「チームコンパス」。DXを看護業務の効率化や患者ケアの質向上につなげる機運を高めるイベントとして注目を集めそうだ。

 看護DXアワードは、男性看護師団体「日本男性看護師會」と看護DXを支援するS.U.N.が企画したもので、17日に「国際モダンホスピタルショウ・ナースまつり2025」内で表彰式が行われた。

 アワードに寄せられた応募は53件。その内容を「業務の効率化と質の向上への貢献」などの観点から総合的に審査し、10部門の受賞者と最優秀賞を決めた。

 頂点に立ったチームコンパスは、看護師がスマートフォンで記録業務を効率化できるよう支援するアプリで、診療の質の向上と人件費の最適化にも役立つ。その先進性や導入実績が高く評価された。式典で阿部雄飛社長は「これからも現場に寄り添ったDXという姿勢を忘れないようにしたい」と述べた。

 また、「home nursing賞(訪問看護賞)」を受賞したのが、人工知能(AI)やデータを活用して看護現場の業務変革を支援してきたeWeLL(イーウェル)。同社の中野剛人社長は「看護DXを進める企業が増えていることを実感した。データとテクノロジーの力を最大限に活用し、在宅医療の新たな可能性を追求していく」と力を込めた。

 看護現場は慢性的な人手不足や過重労働、情報の属人化といった課題を抱えており、デジタル技術で現場を変革する取り組みが喫緊の課題となっている。同団体は、アワードを通じて「未来の看護」を照らす企業の実績をたたえることで、看護分野のDXを促したい考えだ。