2025.10.01 米アルテラ、インテルから独立で製品を拡充 FPGAの自動設計ツールも

ローガン氏は「今回は密度の高い発表になった」と語る

 再設計可能なロジック半導体であるFPGAの専業メーカー、米アルテラは、先月15日に米インテルからの独立を完了し、製品の拡充を進めている。9月30日(現地時間)、同社はFPGAブランドの「Agilex」の全製品ファミリーの量産出荷と設計ソフトウエア「Quartus Prime」のアップデートを発表した。独立により、幅広い顧客に向け迅速な製品展開を進めていく。

 発表に先立ち、説明会に登壇した同社日本法人社長のサム・ローガン氏は「長い道のりだった」と独立までを振り返った。同社は2015年にインテルに買収されFPGA事業部門となったが、24年に子会社となり、今回米投資ファンドのシルバーレイクが株式51%を取得したことで、インテルから再び独立した。

 今回の独立は、アルテラにとって迅速で幅広い製品展開が可能になる点で意義があるという。FPGA市場が拡大する中、様々な顧客に合わせた柔軟な対応が求められるようになったためだ。ASIC(特定用途向け集積回路)の開発費増大に伴い、再設計可能なFPGAに注目が集まっている背景もある。

 大手半導体メーカーのインテルの一部門である時より迅速に意思決定でき、変動する顧客のニーズに応えやすくなった。幅広い性能の製品展開もインテルの経営戦略とは独立した形で行える。

 インテルのビジネスモデルとのずれもあった。同社は専用チップという性質上顧客数が1万以上に上るが、インテルは命令セット「x86」に対応したCPU(中央演算処理装置)を中心に、少数の大口顧客に汎用チップを提供している。その解消も独立のメリットだ。

 同社の年次イベント「Innovators Day 2025」で30日、Agilexシリーズの全製品ファミリーの量産出荷を発表。27年前半に出荷予定のミドルレンジの「Agilex 5D」シリーズも用意した。ロジック集積度を最大2.5倍に引き上げる。

 Quartus Primeのバージョン25.3も発表。今回のアップデートで新ツール「Visual Designer Studio」を提供する。これは、設計に使うIP(Intellectual Property)ブロックを接続させ論理回路を構成する段階で、最適な提案を自動で行う。FPGA 設計の立ち上げに要する時間を5日から2時間に短縮するという。