2025.10.11 NTTドコモビジネス、トレーナーが遠隔地からリハビリ支援 「IOWN」活用
トレーナーが遠隔でストレッチや運動をサポートするデモ=東京都港区
トレーナーが遠隔でリハビリテーションやトレーニングを支援する――。NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)が、NTTの次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」と触覚伝送技術を組み合わせ、そんな環境を実現した。2028年ごろの実用化を目指す。人手や場所にとらわれず健康増進に必要なサポートを受けられる環境づくりが求められる中、新たなコミュニケーション手段として注目を集めそうだ。
同社は、東京都内で9~10日に開いたNTTドコモグループの法人向けビジネスが集結するイベント「NTT docomo Business Forum'25」で、遠隔地からのリハビリなどの支援を実現する「未来のヘルス&ウェルネスケアステーション」と呼ぶ仕組みのデモンストレーションを公開した。
同社は、アイオンを支えるAPN(オール光ネットワーク)などを活用して、視覚、聴覚、触覚を遅延なく伝送するソリューションのコンセプトを「FURELIA」と名付け、活用事例を積み上げることを狙う。
一つが今回の試みで、トレーナーと体験者がいる場所をAPNで接続。遠隔地にいるトレーナーが体験者の体の動きを誘導し、リハビリやトレーニングをサポートするデモを披露した。体験者は、手に持つ専用デバイス「echorb」と、足踏みのリズムを振動で伝える「バイブロスケープ」も使用。デバイスは、村田製作所子会社で触覚技術を開発するミライセンス(横浜市)が提供した。体験者は例えば、離れた場所にいるトレーナーとの一体感を感じながら、足踏み運動を体感した。
遅延なく触覚データも伝送
同社はミライセンスと連携し、10キロメートル離れたトレーナーと体験者をAPNで接続する実証実験を実施。動画と音声に加えて、複数の感覚情報をリアルタイムで伝送し、腕の動きや足踏みのリズムを伝えたところ、遅延なく両者の動きが同期していることを確認できた。
高齢化が進行する中、医療や介護の現場では深刻な人手不足に直面。住む地域によって医療や福祉サービスの充実度が異なるという地域格差も表面化している。こうした中、遠隔地から専門的なサポートを必要とする生活者を支えるサービスへの期待感が高まっている。NTTドコモビジネスの担当者は、音声や映像に触覚データを組み合わせたコミュニケーションのシステムを、「小売りや物流、製造などにも展開していきたい」と強調。都市と離れた地方をAPNで結び地域活性化に貢献するという展開への期待感も示した。