2025.11.07 中国小鵬汽車、次世代モビリティーへの展開に意欲 ロボタクシー、ヒト型ロボットなど26年にも投入

VWが導入を決めた小鵬汽車の次世代プラットフォーム「VLA2.0」を紹介する何小鵬CEO

イベントでAI搭載のヒューマノイドロボット「IRON」を訴求イベントでAI搭載のヒューマノイドロボット「IRON」を訴求

子会社で生産を開始した空飛ぶクルマ「ARIDGE」子会社で生産を開始した空飛ぶクルマ「ARIDGE」

 中国電気自動車の小鵬汽車(シャオペン)は5日、広州市で開いた自社イベント「XPeng AI Day」で、フィジカルAI(人工知能)の応用製品として、無人運転のロボタクシー含めた4つの次世代モビリティー技術を紹介した。何小鵬CEOによると、すでにAIを搭載した4つの技術とも量産計画を立てており、早ければ26年の市場投入も可能で、遠い夢が現実に近付いているという。

 フィジカルAIは、AIがロボットや車などと融合し自律的に判断・行動するという概念。この概念の中核的考えが、「フィジカルAI時代のOS」と同社が位置付けるプラットフォーム「VLA2.0」。「V(視覚)」「L(言語)」「A(行動)」を統合した次世代プラットフォーム技術だ。

 4つの技術のうちVLA2.0は、すべての交通において使用可能となり、しかも高解像度マップに頼らなくてもVLAなどのデータで最適な運転を可能にするOS。フォルクスワーゲン(VW)が他社に先駆け同プラットフォーム導入を決めたという。

 ロボタクシーは来年、3車種投入の予定。何CEOは「当社が中国で初めて完全自社開発で、量産可能な車種を投入する」と語った。

 ロボタクシーは、1台あたり4個のAIチップ「Turing」を搭載する予定。車両内のAI処理能力は、1秒間に3000兆回の演算が可能な3000TOPS, 現在世界で最高レベルの性能という。Lidarや高精細地図への依存が不要というわけだ。

 同社はまた、人間に極限まで近づけた設計思想の次世代ヒューマノイド(ヒト型)ロボット「IRON(アイアン)」を発表した。収縮と弛緩(しかん)可能な合成筋肉や柔軟な背骨、柔らかい触覚センサー内蔵の人工皮膚が特徴。自由度は、全身が82度、片手が22度。体格が身長178cm, 体重が70kgで、成人男性に近い。全固体電池を搭載するため、安全性も高い。

 空飛ぶクルマにも意欲的。小型の飛行自動車「A868」が、今回のイベントで初めて公式デビュー。航続距離500km、巡航速度は毎時360km、6人座席はビジネス用に適している、と何CEO。目下、飛行認定待ちの状態にあり、本格デビューは近い。 

 中国では、高度1000m以下の低高度経済が物流業者の間で急成長している。こうした市場に着目した同社は空飛ぶクルマ「ARIDGE」の量産体制に入った。何CEOによると、年産1万機の生産能力だが、当初は年産5000台で26年にスタートした。量産体制に入ると、1機につき生産完了までわすか30分の所要時間としている。

 今回のイベントで何CEOは、ARIDGEの受注がすでに世界で7000機を超えたと紹介。空飛ぶクルマ事業への意欲を示した。