2025.11.17 【Inter BEE特集】映像・音響の最新技術披露 AIやIP活用技術で市場を活性化 19~21日の3日間開催
音と映像と通信のプロフェッショナル展 「Inter BEE」が19日開幕する=昨年の様子
日本随一の音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE2025」が19~21日の3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕する。映像・音響業界もDX(デジタルトランスフォーメーション)化が急速に進み、4K・8Kやデジタル化、省力化技術が広がっている。なかでも人工知能(AI)や大規模言語モデル(LLM)などを活用した新たな技術や製品の市場投入は、活発化している。主催は電子情報技術産業協会(JEITA)。2024年は1058社/団体が1811小間を設け、3万3853人が来場。今年は昨年よりも展示規模を拡大して開催する予定だ。
今年で第61回を迎えるInter BEEは、コンテンツを「つくる(制作)」「送る(伝送)」「うける(体験)」の技術要素を網羅した「メディア総合イベント」として開催。多角的な情報発信や体験、コミュニケーションを促進するプラットフォームとして、業界内外に発信。コロナ禍以降加速するオンラインやハイブリッドなどのニーズに応える。
今回の展示は、プロフェッショナルのニーズに応えた「プロオーディオ部門」「エンターテインメント/ライティング部門」「映像制作/放送関連機材部門」「メディア・ソリューション部門」の4部門で構成。AIやクラウド、IP、メタバース、リモート関連などの最新技術や製品・ソリューションを披露する。
多様で新たなコンテンツ制作とその表現を発信する「INTER BEE IGNITON×DCEXPO」は、AIや先端コンテンツ技術で変わるクリエーティビティー(創造性)の関係性が生み出す未来の可能性を提案する。
今回は、AIとコンテンツをテーマにしたセッションや展示も展開。スポーツビジネスから新規事業開発、スタートアップの挑戦など共創を紹介し、新しい価値を創出する。
23年新設の動画マーケティングラウンジを展開など、映像制作分野の最前線を発信する「INTER BEE CREATIVE」は、映像制作の先進的な制作技術や制作ツール製品・サービスを展示とプレゼンテーションで訴求する。講演会では、映画監督や映像作家なども登壇し、現場で活用できるエフェクトなどを紹介する。
企業間の垣根を越えた連携でMedia over IP(MoIP)とソフトウエア化によるコンテンツ制作のDXを提案する特別企画エリア「INTER BEE DX×IP PAVILION」も注目を集めそうだ。IP伝送を基盤にソフトウエア化し、リモートプロダクションや自動化に対応する。未来につながる次世代コンテンツ制作の効率化を提案するため、五つの企画を用意した。
「多様なロケーションからの柔軟なリモートプロダクション、リソースシェアリング」では、複数の国内放送局などと、二つのMedia Operation Center(MOC)のマルチ接続構成による分散型制作オペレーションを実証する。
「ハイブリッドクラウド環境におけるマスターおよびプロダクションの冗長性と柔軟な運用」では、プライベートクラウドとパブリッククラウドを併用したハイブリッドクラウド環境によるダブルオペレーションを実証。強靭きょうじんで効率的なハイブリッド運用を提案する。
「多種多様なIPプロトコルによる柔軟なデータ連携」は、標準規格の「SMPTE ST 2110」や「ネットワークデバイスインターフェイス」、IPストリームのプロトコル「SRT」などの信号方式適用によるクラウドネーティブな制作ワークフローや柔軟な連携などを実証する。
「最先端ネットワークインフラの活用」は、複数の通信事業者から提供されるAPN(オール光ネットワーク)や専用線、ベストエフォート回線など異なる特性を持つ回線を組み合わせる。素材の種類や距離、求められる遅延特性、セキュリティー要件に応じて最適な伝送経路を選択できる多様なリモートプロダクションで、リモートオペレーション手法を実証する。
「システム全体を『点ではなく面』で捉える統合監視手法の提案」は、MOCやハイブリッドクラウド、通信回線などのさまざまなシステムを「点ではなく面」として捉え、システム全体を網羅的に監視する手法を提案する。テレビ局のマスター導入から始まる放送システム全体のIP化など、リレー技術セミナーも充実させる。
分野を超えて放送メディアの将来を発見する「INTER BEE MEDIA Biz」は、新たなコンテンツを創り届けるビジネス提案の場を提供する。前回は「INTER BEE BORDERLESS」として開催したが、今回から名前を変更し、メディアの進み方や注目のビジネスなどを紹介する。
映画製作にフォーカスした特別企画として、リアルな映画製作技術を発信する「INTER BEE CINEMA」は、日本の映画製作技術とプロフェッショナルが集合し、次世代コンテンツメーカーとつなぐ体験型シネマコミュニティー、最新機器と技術の発信の場として展開。演出から撮影、編集など製作技術とコンテンツ体験の場を用意した。
スピーカーやヘッドホン、マイクロホンの試聴体験や音響体験ができる「INTER BEE EXPERIENCE」をイベントホールで開催。新ブランドも加わり、合計13製品が競演する。「X-Speaker(SRスピーカー試聴体験デモ)」実施し、ライブエンターテインメント市場をさらに加速させる。
昨年新設された各部門の注目最新プロダクトを表彰する「INTER BEE AWARD」も好評だ。今後のメディア&エンターテインメント産業全般を大きく左右する現在の技術動向を踏まえ、より優れている製品の表彰を行う。
オープニング基調講演は、日本の放送・コンテンツ産業の未来を見据えた総務省の「放送政策の最新動向」、経済産業省の「デジタル技術と日本のコンテンツ産業」、今年3月で放送開始100年を迎えた日本放送協会の「情報空間の参照点を目指してーNHK ONEと公共放送の新たな役割」で、最新の政策動向などの講演を行う。










