2025.11.17 富士通、AWSジャパンと「Business Creation Lab」設立 生成AI融合で流通・サービス業界変革を加速

 富士通は17日、アマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン(AWSジャパン)と、流通・サービス業界向けの新拠点「Business Creation Lab」を本格稼働させると発表した。国内のレガシーシステム刷新と新規収益創出を同時に実現するため、生成AI(人工知能)とクラウドを活用して経営KPIに直結する変革を支援する。

 両社の戦略的協業契約の一環で、本ラボでは富士通の業界知見と、AWSジャパンのクラウドや生成AI技術を融合し、現場起点での課題抽出から最短90日でのPoC(概念実証)・導入までをワンストップで伴走する。


 同ラボては、まず顧客現場に入り込んで潜在的な課題を可視化し、AWSの最新技術を活用した解決策を設計。最短90日で実証段階から導入判断までを支援し、富士通とAWSジャパンが協働でソリューションを開発して横展開を図る。特に、メインフレーム(大型汎用コンピューター)やEDI(電子データ交換)といったレガシーシステムをAPI化し、食品流通・リテール・商社・サービス業といった幅広い領域に提供する。

 実際の適用事例として、三菱食品では生成AIチャットボットにより有識者ノウハウのナレッジ化を実現し、属人的業務の標準化・自動化を加速しているという。富士通は、この取り組みを起点に流通・サービス業界以外の国内各業界にも展開を広げ、クラウドや生成AIの活用、業界横断でのデータ連携を通じて持続可能な成長と新たな収益モデルの創出を目指す。

 国内の流通・サービス業界は、労働人口減少や複雑化する取引構造、消費者ニーズの多様化といった構造的課題に直面しており、データ活用による迅速な意思決定と業務効率化が急務である。併せて、従来からのIT投資により多くのレガシーシステムが残存し、専門知識の属人化やナレッジ継承の難しさも経営的な重荷となっている。
 
 富士通の古濱淑子執行役員常務は「本ラボは、お客さまの現場課題と経営戦略をつなぎ、知見とテクノロジーを活用して新たなビジネス価値を生み出す拠点」と述べ、従来の単なるシステム導入にとどまらず、構想策定から実証・導入までを支援し、企業価値の向上につなげたい考え。