2025.12.15 島津賞に東大定量研教授、生命現象の根幹を担う「クロマチン構造」の研究が評価

島津賞を受賞した東京大学定量生命科学研究所の胡桃坂仁志教授

 島津科学技術振興財団は15日、2025年度の第45回島津賞を東京大学定量生命科学研究所(定量研)の胡桃坂仁志教授が受賞したと発表した。生命現象の根幹を担うクロマチン構造と機能の研究で卓越した成果を挙げた。そのほか、第8回島津奨励賞の受賞者3人らも選出した。

 島津賞は科学技術、主として科学計測に係る領域で著しい成果を上げた功労者に贈られる。同財団は、1980年に島津製作所の拠出金により設立された。

 島津賞を受賞した胡桃坂教授は、「クロマチン複合体構造の革新的解析法とエピゲノム動作原理の解明」という研究業績が評価された。クロマチンとは、膜で囲まれた細胞核を持つ生物である真核生物の細胞核内に存在するDNAとタンパク質の複合体のこと。胡桃坂教授は、エピゲノム情報を含むクロマチン複合体を試験管内で再構築する独自の技術を確立。世界的に高水準な技術へと発展させた。副賞500万円が贈呈される。

 島津奨励賞は、東大大学院医学系研究科の岡田随象教授、同大大学院理学系研究科の井手口拓郎准教授、同大物性研究所の松永隆佑准教授が受賞。それぞれに副賞の100万円が贈られる。

 研究開発助成金受領者は「領域全般」で、東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センターの阿部真樹助教の研究など20件を選出。「新分野」の受領者は、岐阜大学高等研究院・大学院医学系研究科の岡田大瑚特任助教の研究など3件が選ばれた。

 表彰式と記念講演は、2026年2月17日に京都市中京区のホテルオークラ京都で行われる予定。