2025.12.02 日立とエピストラ、AIで医薬原料中間体を効率生産 ラボスケールで成果
「(S)-レチクリン」の商用生産に向けた取り組みの全体像
日立製作所は、人工知能(AI)を活用しライフサイエンス分野の研究開発を支援するエピストラ、合成生物学スタートアップのファーメランタと共同で、抗がん剤などに使われる医薬原料中間体「(S)-レチクリン」の生産効率を高める実証試験を行い、ラボスケールで有効性を確かめたと発表した。
微生物を用いた培養条件の確立に関する課題解決を目的とした共同実証のうち、前半のラボスケール実証を10月に完了した。3社は今年度中に、パイロットスケールでの収量低下を抑制した生産の実証を行う計画だ。
今回の実証では、ファーメランタが開発したスマートセルを用いた培養実験に、AIを利用して実験条件を最適化するエピストラのソフトウエア「Epistra Accelerate」と日立の培養シミュレーション技術を組み合わせた。温度や培地成分など11の変数からなる約4,300兆通りの膨大な条件の中から、60回の実験で最適条件を特定。これにより、収量は従来の約1.9倍となり、実験回数も従来比で最大73%削減した。微生物を使った生産として世界最大級の成果となる。
将来的に日立は、今回の取り組みで得られた技術や知見をもとに生産プロセスの構築を支援するソリューションを、主力のデジタル事業「Lumada (ルマーダ)3.0」を体現する「HMAX Industry」としてグローバル展開することを目指す。










