2025.10.28 日立、AI前提で基幹システムを刷新 企業の業務変革を強力後押し
記者説明会に臨む日立製作所の後藤アプリケーションサービス事業部アプリケーション・モダナイゼーション本部本部長
日立製作所は、人工知能(AI)活用を前提とした「AIネーティブ」な基幹システムへの刷新を支援するサービスの提供を始めた。顧客企業のシステム刷新にとどまらず、業務や組織の変革にまで踏み込み、事業成長に貢献したい考えだ。
新サービスの名称は「モダナイゼーション powered by Lumada」。特定分野の深い知識を指すドメインナレッジとAI活用のノウハウを集約したデジタルサービス「Lumada(ルマーダ)」を生かし、計画と実行という二つのフェーズを支援する。
一つ目が「グランドデザイン策定サービス」。変革に必要な投資の優先順位などを踏まえたグランドデザインと、システム刷新に必要な技術選定やリスク評価を含む実効性の高いロードマップを策定する。
二つ目が「業務・IT モダナイゼーションサービス」で、自律的に業務をこなすAIエージェントを活用した業務変革を推進する。具体的には、日立で開発・運用実績がある200種以上のAIエージェントをテンプレート(ひな型)にして業務変革を迅速に実行。人間が遂行していた業務を先にAIが判断し、人は意思決定を担う環境を実現する。
データの品質はAIの判断に直結するため、「AIが理解しやすいデータ」へ変換する準備も進める。さらに、ITシステムを「変化に対応する領域」と「レガシー資産を有効活用する領域」に切り分け、最適なアーキテクチャー(構造)へと刷新。組織変革や人材育成にまで踏み込んで伴走する。
今回の事業について、日立の後藤恵美アプリケーションサービス事業部アプリケーション・モダナイゼーション本部本部長は「モダナイゼーションの市場の24年度から27年度へのCAGR(年平均成長率)は16%を見込んでおり、それを上回るペースで拡大したい」と意欲を示した。
多くの企業が労働人口の減少に伴う業務ナレッジの継承や競争力強化への対応が迫られる中、熟練エンジニアの減少や基幹システムのサイロ化が大きな経営課題となっている。こうした課題を解決しようと日立は、これまでも基幹システムを最新技術で刷新するモダナイゼーションを促してきたが昨今、AI活用を前提とした業務変革を促す機運が高まる傾向にある。そこで日立は、データとAIを経営の中心に据える「デジタルセントリック企業」への変革を強力に支援するサービスを用意することにした。







