2025.11.21 日立、スマホで作業現場の危険箇所を通知 現場で新機能を運用

現場技術者の作業イメージ(提供:日立製作所)

「AI Safety ソリューション」の流れ(提供:日立製作所)「AI Safety ソリューション」の流れ(提供:日立製作所)

 日立製作所は、作業時の危険箇所を事前に通知する安全アラート機能を開発し、11月下旬から現場で運用を始めると発表した。作業現場の危険箇所に設置したサイネージのQRコードを技術者が装着するウエアラブルカメラで読み取ることで、スマートフォンからの音声で注意喚起を行うという仕組み。現場技術者の業務効率と安全性を高めることが狙いだ。

 日立のコネクティブインダストリーズセクター(CIセクター)に所属する日立ビルシステムと同社のグループ会社は、現場で培ったドメインナレッジ(知見や経験)にAI(人工知能)を組み合わて社会インフラを高度化する事業「Lumada(ルマーダ)3.0」を体現するサービス「HMAX for Buildings:BuilMirai(ビルミライ)」の一環で、現場技術者向け「AI Safetyソリューション」の開発を進めている。その第1弾として、QRコード、ウエアラブルカメラ、スマホを活用し、作業時の危険箇所を事前に通知する機能の運用を始めた。こうした作業スタイルに技術者が早期に慣れてもらおうと、限定的に導入する計画だ。

 具体的には、現場技術者が装着したカメラが注意が必要な場所に掲出した標識のQRコードを読み取ると、カメラ映像に写り込んだ人の顔をマスク処理して転送。その後、注意を促すメッセージをスマホを介して音声で知らせるという仕組み。技術者は通常、作業時に「指差し呼称」で危険箇所を認識する。今回の機能で音声による再認識を促すことで、安全意識を一段と高めていく。将来的には、カメラで得たデータをAIが処理してスマホで注意喚起する仕組みの実現も目指している。

 建設業やビル管理業では人手不足が深刻化し、現場では熟練者と初心者が混在する状況が増えている。日立のビルシステム事業は、CIセクターの中でも最大規模となる約2万6000人が従事。こうした課題に対応するため日立グループでは、現場技術者の知識をデータ化し、AIを活用したソリューションの開発を推進している。日立ビルシステムは、AI Safetyソリューションの開発と実用化に注力。デジタル技術と熟練者の知見を融合し、誰もが安全で効率的に働ける環境づくりを目指しているという。