2025.12.24 米ハーマン、独ZFの先進運転支援システム事業を買収 コックピットの展開に弾み

事業買収で合意した3社の首脳(左からZFのミードライヒCEO, ハーマンの孫永権会長、同社オートモティブ部門のソボトカCEO)

ADAS事業を手放し、中核事業に本腰を入れるZFADAS事業を手放し、中核事業に本腰を入れるZF

 韓国サムスン電子の米子会社でオーディオ事業を手がけるハーマン・インターナショナルは23日、ドイツの電装部品大手ZFグループのADAS(先進運転支援システム)事業を買収することで合意したと発表した。

 ZFによると、譲渡額は15億ユーロ(約2760億円)で、ADAS向けコンピューティングソリューションやスマートカメラ、レーダー技術、各種ソフトウエア機能がZFのADAS部門に含まれている。売却完了は2026年後半の見込みで、米、欧、アジアでZFの従業員3750人がハーマンへ転籍する。

 ZFの24年ADAS事業は、28億ユーロの規模。今回の事業売却で負債を圧縮し、シャシーやパワートレイン、商用車、産業分野など、同社が世界的に誇る中核事業への資源集中を図る。

 「デジタルコックピット」と呼ばれ、独自のコックピット関連技術に強いハーマンはZFのADAS技術を取り込むことで「安全・快適・コネクテッド体験」を一体化でき、同時にソフトウエア主導の機能提供が可能なSDV(Software-Defined Vehicles)対応システムを自動車メーカーに供給できる体制を敷く。

 ZFのマティアス・ミードライヒCEOは「理想的なパートナーが見つかった。当社のADASが持つ成長とポテンシャルの道が開かれた」とコメントした。ハーマンのオートモティブ部門CEO兼社長のクリスチャン・ソボトカ氏は買収の意義について、「ZFのADAS部門スタッフを歓迎する。自動車産業の移行において次の時代を形成する重要な役目を果たしてくれることを期待したい」と述べた。買収完了には、規制当局の承認が必要となる。