2025.12.29 米ADI、高周波デバイスに注力 通信、航空宇宙、防衛などで重要性増す

マイクロウェーブ展でのADIブース

Dragonflyを用いたISACのデモDragonflyを用いたISACのデモ

ADL5961を用いたVNAのリファレンスデザインADL5961を用いたVNAのリファレンスデザイン

 米アナログ・デバイセズ(ADI)は、RF・マイクロ波製品への取り組みを強化している。通信、航空宇宙、防衛など幅広い分野で重要性が増す高周波デバイスを幅広く取り揃え、顧客ニーズに合わせたソリューションを提案する。

 先月末、パシフィコ横浜で開催された展示会「マイクロウェーブ展」。マイクロ波技術に関する国内最大級の学術イベントとして、高周波デバイスや計測器などを扱うメーカーや商社が一堂に会した。テラヘルツ通信や光通信など、無線通信を支える最新技術が数多く展示された。

 同社は、幅広い周波数帯に対応したRF・マイクロ波製品を展示するとともに、最新のRFソリューションによるデモなどを紹介した。中でも注目を集めたのが、28GHzミリ波を用いたデモ。研究開発が進む次世代の移動通信システム6Gにおいて注目される“無線とセンシングの融合”であるISAC(Integrated Sensing and Communication)を実現する最新技術として紹介した。

 ブースでは、同社が日本で開発した28GHzアレイアンテナ「Dragonfly(ドラゴンフライ)」を用いて、通信しながら物体を同時にセンシングする簡易システムを構築した。2台のDragonflyを約1mの距離で対向に設置し、1台は送信用、もう1台は受信用として動作。2台のDragonfly間を物体が通過するとビーム角度の変化を受信側でスキャンし、物体を検知する。

 通信とセンシングを一体化することで、高精度な位置検知やプライバシーに配慮した見守りなど、さまざまな領域での活用が期待される。

 高周波領域で使用される多様なユースケースを想定したリファレンスデザインも各種紹介。最大20GHzの広帯域に対応したベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)のリファレンスデザインは、小型かつ低消費電力という特徴を備え、大規模なテストシステムへの組込みやポータブル機器への展開に適している。

 同社のVNAに特化したフロントエンドIC「ADL5961」のほか、複数の同社製品を採用し8ポート構成のVNAを実現した。これによりRF特性評価やインピーダンス測定をコンパクトなシステムで実現することができる。

 そのほか、パートナー企業との連携により生まれたソリューションも複数展示。ドローン画像通信向けSDR(Software Defined Radio)プラットフォームをマリモ電子工業と共同で展示したほか、76/79Ghzカスケードレーダーモジュールをエスタカヤ電子工業と共同展示した。