2026.01.12 【電子部品総合特集】日本電波工業・加藤啓美社長 成長領域へ経営資源を投入 新企業理念「波動で未来を科学する」策定

 当社は「Vision 2030」で2030年に売り上げを1000億円にする長期目標を立てている。

 現在の事業の柱は車載と移動体通信市場向けだが、加えて産業機器向け、光学製品、防衛関連などの事業を伸ばしていくという成長戦略「Five Pillars+One」構想を打ち出している。その中で産業機器向けと防衛関係は今後の成長に向けた兆候が表れ始めている。

 産業機器向けは、AI(人工知能)サーバー、光トランシーバー向けの販売が好調で、27年度には産機市場向け売り上げを24年度比で約2.2倍に拡大する計画。光学製品は、カメラ用光学ローパスフィルターに加え、半導体製造装置向けに高純度の人工水晶を使用した波長板の石英ガラスからの置き換え提案を進めている。防衛関連は、24~25年度と大きく売り上げが増加し、26年も高い成長を見込む。

 車載、移動体通信の両市場が元気なうちに、新たな成長領域であるAIサーバーや半導体製造装置、防衛関連、QCMセンサーなどへの経営資源投入を推進し、ポートフォリオ転換を進める。そのために、さまざまな先行投資をしている。

 新SAPシステムは、25年10月に国内事業所で一次稼働を始めた。海外販社や海外工場での二次稼働も27年3月までに切り替える予定。これにより、一気通貫のシステムによるインフラ構築が整う。

 こうしたDX(デジタルトランスフォーメーション)投資と工場のスマートファクトリー化推進により、工場の生産性を2030年には23年度比で約3倍に向上させ、新たな建屋を建設することなしに生産能力を約3倍に高める計画だ。

 2030年度の目標達成に向け、27年度までが先行投資期間になるが、ここまで着実に進捗しんちょくしている。

 当社は25年に新企業理念「波動で未来を科学する」を策定した。

「波動」には、電波だけでなく、音波、光波などいろいろなものがある。「水晶の会社」という枠組みを超え、波動技術を軸に、多彩な製品を展開していく。その第1弾が、SiーMEMSとなる。

 人的資本経営強化のため、人的資本への投資にも力を注ぐ。当社は製品が変わり、システムも変わり、設備も変わる。企業理念も刷新した。現在の当社は、第二の創業期を迎えていると認識している。