2026.01.14 CIAJ、賀詞交歓会に450人 森川会長「フィジカルAI・エージェントで通信トラフィック変化」

あいさつするCIAJの森川会長=14日、東京プリンスホテルあいさつするCIAJの森川会長=14日、東京プリンスホテル

来賓として林総務相も登壇来賓として林総務相も登壇

小森経産政務官も祝辞を述べた小森経産政務官も祝辞を述べた

 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)は14日、東京プリンスホテル(東京都港区)で「2026年新年賀詞交歓会」を開催した。業界関係者ら約450人が出席し、AI(人工知能)時代の社会インフラを担う情報通信産業の役割と、成長に向けた官民連携の加速を確認した。

 CIAJはICT(情報通信技術)産業の活性化につながる政策提言や新ビジネス創出に向けた環境整備、社会課題解決に向けた取り組みを推進する情報通信ネットワークの業界団体。冒頭あいさつで森川博之会長(東京大学教授)は、2025年を振り返り「大阪・関西万博の開催、史上初の女性総理の誕生、日銀の利上げなど、日本社会の大きな節目の1年だった」と述べた。一方、海外では地政学的緊張の高まりや保護主義の動きなど、不確実性が経営環境を一層厳しくしていると指摘。「将来への確かな備えとして、情報通信ネットワーク業界が使命を果たしていきたい」と力を込めた。

 森川会長は情報通信の位置付けについて「今や疑いもなくライフライン。次の世代の日本のため、今を生きる私たちが責任を果たしていかなければならない」と決意を新たにし、会員企業への継続的な支援を呼びかけた。

 重点テーマとしてはAIを挙げ、「キーワードはフィジカルAI、マルチモーダル、AIエージェント」と提示。生成AIのマルチモーダル化で通信トラフィックが増大するだけでなく、従来の「ユーザーとクラウド」の垂直型に加え「エージェント間の水平型トラフィック」が新たに生まれるとの見通しを示した。

 こうした変化を踏まえCIAJとして、オール光ネットワーク(APN)関連の市場創出や社会実装に向けた議論、政策提言活動を一段と強化していく方針を示した。また、地政学的緊張を念頭に経済安全保障の観点から「情報通信ネットワーク業界のあるべき姿を考えていく必要がある」とし、関係省庁や通信事業者と一体となった検討を進めたいとした。

 来賓として林芳正総務相が登壇。政府が掲げる「強い経済」を柱に、情報通信分野を社会活動・安全保障・災害対応に不可欠な基盤として位置付け、官民連携で戦略投資を促す考えを示した。総務省では、総務大臣を議長とする「情報通信成長戦略官民協議会」を新設する方針で、森川会長も構成員として参画し、CIAJもオブザーバー参加する。

 予算面では、DXイノベーション加速化プラン2030を踏まえ、情報通信関係予算の重点化を進める。2025年度補正予算では、前年度補正比2.5倍となる約3600億円を計上。低軌道(LEO)衛星インフラ整備や海底ケーブルなどの分野で増額し、デジタルインフラの強靱化(きょうじんか)と自律性確保を後押しする。加えて、データセンターの地方立地支援なども含めAPNの早期実現に取り組み、「ワット・ビット連携」など横串政策を推進する方針を示した。

 経済産業省側からは小森卓郎経済産業大臣政務官があいさつ。米国の関税措置や各国の自国優先の産業政策などを背景に、自由主義経済の環境が転換点を迎えているとの認識を示し、「日本国内の生活・産業に悪影響を与えないよう、覚悟を決めて産業政策を推進する」と述べた。AIとデータセンター活用の進展で電力需要が拡大する中、エネルギー供給が成長制約とならないよう対応する必要性を指摘した。

 危機管理投資と成長投資を軸に、情報通信をはじめAI、半導体、量子、航空宇宙、エネルギー、GX(グリーントランスフォーメーション)など戦略分野への大胆な設備投資や研究開発支援を早急に検討するとし、官民投資の呼び水としたい考えを示した。経済安全保障では、重要物資の過度な対外依存を避ける強靱なサプライチェーン構築を急ぐ考えを強調。国際通信の大部分を担う光海底ケーブルについても「経済活動を支える重要物資」と位置付け、生産体制強化などに取り組む方針を強調した。