2026.11.03 GМОの熊谷社長「報告が上がっていなかった」 ガバナンス不全ににじむ悔恨

記者会見に臨むGMOインターネットグループの熊谷会長兼社長=2日、東京都内

AIの進展を背景に高速化するサイバー攻撃について説明するGMOインターネットグループの熊谷会長兼社長(中央)AIの進展を背景に高速化するサイバー攻撃について説明するGMOインターネットグループの熊谷会長兼社長(中央)

 GMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長は2日、傘下のGMOインターネットが提供する外国為替証拠金取引(FX)向けクラウドサービスで発生した不正アクセスを巡り、東京都内で記者会見を開いた。熊谷氏は、子会社の専門家が2年前に報告したシステムの脆弱(ぜいじゃく)性が経営トップに共有されなかったことへの悔恨をにじませるとともに、ガバナンス(企業統治)機能の見直しを進める考えを示した。主なやりとりは次の通り。

――不正アクセスの発覚後、連日リリースを発表し、熊谷氏自身もX(旧ツイッター)で発信してきた。なぜこのタイミングで会見を開いたのか。

 熊谷氏 事件発生から先ほどまで手いっぱいだった。皆さまに直接説明できる状況になったので、上場企業として、迷惑をかけた主体として、真摯(しんし)に私の言葉で皆さまにおわびと状況の説明をしたいと考えた。遅かったかもしれないが、グループとして全力で対応した。

――GMOはインターネット業界をけん引してきたトップランナーで、金融をはじめ多様な事業を展開している。それにもかかわらず、子会社からの指摘を十分な対策につなげられなかった理由は。

 熊谷氏 私のグループは150社超で構成され、約8300人のパートナー(社員)に支えられている。このため、情報を報告するエスカレーションの基準がある。今回の件は、私のところまでエスカレーションされていなかったのが事実だ。私は、この事件で知った。エスカレーションされなかったことは私の全責任であり、大変に悔いている。この問題を分析し、きちんと対応していきたい。

――ガバナンスは機能していたのか。声を上げにくい社内風土はなかったか。

 熊谷氏 そういう指摘を生かすためにグループ経営を行っており、グループ各社は独立して動いている。各社がそれぞれの問題を解決し、「お客様の笑顔のために叶う経営」を行うのが、われわれの企業風土だ。8300人が私にダイレクトに連絡するなど、グループの仲間の声を集める仕組みが機能している。今回の件も真摯にお客さまに向き合い、その反省を生かし、結果として評価してもらえる企業グループにしたい。

――熊谷氏は、Xで「犯人の特定につながる有力な情報を入手した」と投稿し、同社としても有力情報を警察や関係各所に提出すると発表した。その情報は何か。描いている犯人像は。

 熊谷氏 ホワイトハッカーによって一定量のデータを入手して、しかるべき機関に報告している。捜査の邪魔になる発言はできないので、ここまでにしたい。個人的には、お金以外にも動機があると思っている。

――不正アクセス問題がブランドイメージに与える影響は。

 熊谷氏 明らかに悪い影響がある。災いを転じて福となすよう、全力でチャレンジするのが起業家だ。まずは過去の反省を行い、自らの問題点を正す。3年、5年、10年、あるいは20年かかるかもしれない。必ずや安心・安全なインターネットを通じて、ブランドイメージの回復を図りたいと願っている。

――人工知能(AI)の進化でサイバー攻撃の被害が急増している。国にはどのような対応が求められるか。

 熊谷氏 犯罪組織がAIを悪用し、マシンガンで無差別攻撃をしている状況だ。この状況に一個人、一企業で対応することは難しい。私見となるが、「サイバーイージス(国家規模のサイバー防衛網)」を日本で運用し、海外からの悪いIPを検知し、即座にキャリア(通信事業者)に停止を依頼するという制度をつくるべきだ。多くの方がハッカー集団によってつらい思いをしているので、根本を止めないといけない。私たちが寝ている間にも悪用されるAIに対抗するためには、社会がこのスピードに合わせないと守り切れない。