2020.10.12 太陽光発電でスマートゴミ箱東京・表参道に登場、森永製菓などが支援

スマゴは10月8日から正式な運用を始めた

森永製菓のキャラクターが目に留まるスマゴ森永製菓のキャラクターが目に留まるスマゴ

ごみ箱のふたは、足で踏んで開くこともできるごみ箱のふたは、足で踏んで開くこともできる

かわいいキャラクターが、SDGsの重要さを訴えるかわいいキャラクターが、SDGsの重要さを訴える

 東京都渋谷区の表参道沿いの歩道に、ソーラーパネルと蓄電池を搭載して稼働するスマートゴミ箱「SmaGO」(スマゴ)が登場し、国内で初めてとなる本格運用を始めた。IoT技術で、たまったごみの量をリアルタイムに把握できる機能などがあるが、動力はすべて太陽光発電で賄い、電気代はゼロ。今後の街づくりなどで注目を浴びそうだ。

 スマゴは、縦126センチメートル・横63センチメートル・奥行68センチメートルのステンレス製。2-3台を連ねて1組として並べる。表参道沿いの約1キロメートルに、13カ所計34台(一般可燃用21台、ペットボトルや缶、ビンなど資源ごみ用13台)が配置された。

 観光客らによるごみが問題視されたこともある表参道では、以前から地元の商店街振興組合がごみ箱を配置していた。今回も設置主体となり、スマゴを国内で展開するフォーステック(東京都港区)が、スマゴを提供。菓子大手の森永製菓がオフィシャルパートナーとして、スマゴのラッピング広告費などとして費用面を支援する。今後、ごみの回収コストなどにも、広告費などを充てていくという。

 フォーステックによると、スマゴが実験レベルで街中に設置されたケースはあるが、本格的に稼働するのは国内で初という。

 スマゴは、ごみ箱が満杯になりそうになると、センサーが感知。自動的に、上部からプレートが約500キログラムの力で、たまったごみを押しつぶして圧縮することで、通常に比べて、5-6倍の容量をためることができる。その効果で、ごみ収集を効率化でき、回収コストや回収作業に伴う二酸化炭素(CO₂)の削減も期待できるという。

 さらに、IoT技術を活用し、通信回線を通じて、ごみの蓄積状況などをリアルタイムに発信。クラウド上で把握でき、適切なごみ回収をマネジメントできる。今回は、ごみの回収業者や、商店街振興組合などが、ごみの蓄積状況を管理。パソコン上やスマホのアプリで確認しているという。

 ごみ箱ごとに回収状況が分かるため、ごみがたまらない場所や、すぐに蓄積する場所などを明確に把握でき、ごみ箱の撤去や増設といった配置の最適化にも役立つ。

 スマゴは、繁華街の広告塔としても機能する。森永製菓は、ごみ箱の側面などに主力製品「チョコボール」のキャラクター「キョロちゃん」をデザイン。ごみの分別や、SDGsの推進などをPRしている。

 森永製菓では、菓子製品がプラスチックで包まれており、プラスチックを排出する食品会社として環境問題を意識。製品のプラスチックの削減だけではなく、その後もごみを正しく処理しやすい環境づくりに協力する目的で、スマゴ設置への支援を決めた。同社コーポレートコミュニケーション部は「ラッピング広告でも、ごみの分別やリサイクルの大切さを訴えている」と話す。

 スマゴは、米国のメーカー製。米・ニューヨークの代表的な繁華街、タイムズスクエアにも設置されており、ごみの回収回数を半減できるなどの効果が出ているという。フランスやアイルランド、ドイツなど世界50カ国以上の自治体で導入されている。

 フォーステックの担当者は「屋外で電源を取るのは難しく、太陽光でなければできない。日本では街中にごみ箱が少なく、広告として企業の力を活用して導入を広げ、街中をきれいにするのに役立てたい」と話している。