2021.03.03 上海で3、4月に相次ぎ製造系展示会日系各社、販社や代理店通じ出展

半導体製造装置展「セミコンチャイナ」(20年6月開催の様子)

毎回多くの来場でにぎわう「ネプコンチャイナ」(19年の様子。昨年は中止だった)毎回多くの来場でにぎわう「ネプコンチャイナ」(19年の様子。昨年は中止だった)

 中国・上海で製造系の展示会が3、4月に相次いで開催される。コロナ禍から立ち直った中国製造業では半導体、第5世代高速通信規格5G、EV(電気自動車)、通信などが活況を呈しており、日系製造系各社は現地販社や代理店などを通じて出展し、中国ビジネスの拡大を狙う。

 製造装置展「プロダクトロニカチャイナ2021」(主催=メッセミュンヘン)と半導体製造装置展「セミコンチャイナ2021」(主催=SEMIチャイナ)が3月17-19日に上海新国際見本市会場(SNIEC)で開催される。

 プロダクトロニカチャイナは、電子部品・デバイス展「エレクトロニカチャイナ」とともに毎年3月に開かれているが、昨年はコロナ感染の広がりで7月に延期して両展同時に開催され、盛況だった。日系企業は直接出展を見送ったが、「予想以上ににぎわった」(メッセミュンヘン日本代表部・山賀千晶代表)。

 同展示会には電子部品製造装置をはじめプリント回路基板材料・半導体製造関連などが幅広く展示される。今年は日系ではFUJI、日本スペリア社などが出展を予定する。エレクトロニカチャイナ2021は4月14-16日に上海新国際見本市会場で行われる。

 セミコンチャイナも毎年3月に開かれるが、昨年は6月に延期開催された。今年は日系では東京エレクトロン、アルバック、キヤノン、東京応化工業、スクリーンセミコンダクター、堀場製作所、THK、ディスコなど、主要な半導体製造関連企業が現地法人を通じて出展を計画している。

半導体製造に高い関心

 中国は「中国製造2025」政策によって半導体の内製化を進めており、半導体業界の製造装置に対する関心が高いだけに多くの来場が見込まれる。

 日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、1月度の日本製半導体製造装置の販売額は1808億円(前年同月比6.3%増)と順調な伸びで推移。中国市場がけん引している。

 4月には表面実装技術・製造装置の専門展示会「ネプコンチャイナ2021」(主催=リード エグジビション チャイナ)が21-23日の3日間、上海世博展覧館で催される。

 同展示会は、深圳で毎年開催される「ネプコンアジア」と並び中国最大の表面実装関連専門展示会で、日系実装機各社も重要な中国ビジネスとして位置付けている。昨年は中止され、ネプコンアジアのみ8月に行われた。

 主催者によると今年は約700社・団体が出展を予定、会期中に5万人の来場を見込む。表面実装に関わる実装機、基板検査装置、はんだ材料、はんだ付け装置を中心にロボット、マイクロエレクトロニクス、半導体関連など幅広い出品が計画されている。

 日系もFUJI、ヤマハ発動機、JUKI、ジャパンユニックス、オムロン、サキコーポレーションなどが現地販社、代理店を通じて出展予定(一部検討中)。各社は中国でも関心が高まっているスマートファクトリーに展示の重点を置く。

市場の盛り上がりに期待

 日系製造装置各社では、製造系展示会の開催による市場の盛り上がりに期待している。

 FUJIは、中国を中心とするスマホ、5G基地局、PC、電子部品など向けの実装機需要の堅調な推移が業績にも反映。

 JUKIは、中国の5G関連など設備投資需要の回復から、実装機を主力とした産業機器事業の業績が急速に戻り、同事業の20年度第4四半期(10-12月)は大幅増益となった。内梨晋介社長は「中国市場を中心に、高速機市場の販売拡大やマルチタスクプラットフォームなどによる自動化・省人化の推進を重点に取り組む」と述べる。

 ジャパンユニックスの李澤民中国首席代表は、中国現地の市況について「実装機の需要が伸びている。中国でもリモートワークやオンラインイベントが増え、PCや通信関連機器の市場が広がっている。自動車生産は欧米系では戻っていないが、中国現地企業のEV生産が増加し、関連する車載向け機器の需要が伸びている」と説明する。