2021.03.18 【スマートハウス用部品技術特集】スマートハウス向け電子部品・モジュール 電子部品各社製品・技術開発に注力

Wi-SUN FAN対応モジュール(ローム)

Sigfox用トランスミッタ(SMK)Sigfox用トランスミッタ(SMK)

 電子部品メーカー各社は、今後の普及拡大が期待されるスマートハウス向けの電子部品・モジュール開発に力を注いでいる。スマートハウスを構成する機器・システムの高性能化や高効率化に向けた技術開発を推進し、高効率なエネルギー活用や安心で快適な住環境実現への貢献を目指している。

 エネルギーの有効利用や低炭素社会の実現へ、次世代環境配慮型住宅であるスマートハウスは、重要性が高まっている。

 スマートハウスは、太陽光発電システムや家庭用燃料電池システムなどの創エネ機器や、家庭用蓄電池、xEVなどの蓄電システム、HEMSやIoT技術などを駆使して効率的なエネルギーの運用を行う次世代環境配慮型住宅。スマートハウスは、政府が掲げる「2050年のカーボンニュートラル」目標の達成に向け、本格的な普及拡大とさらなる技術の高度化が期待されている。加えて、IoTやAIなどを活用することで、安全・安心で利便性・快適性に優れた住宅環境の実現も志向されている。

 スマートハウスでは、様々な創エネ・蓄エネ機器や省エネ家電が使用され、これらを効率的に制御・管理する制御機器やセンサー、ネットワーク機器などが必要とされる。セキュリティや見守りシステム、外出先から家庭内機器を遠隔操作する制御システムなども必要。部品各社は、これらの機器・システムの高性能化や高効率化に寄与する電子部品やモジュール開発に力を注いでいる。

太陽光発電関連部品

 太陽光発電関連では、発電効率や長期信頼性の向上、現場作業性改善、低コスト化などに寄与する電子部品の開発が活発。

 接続部品では、太陽電池用の中継コネクタや高電流対応リレー、直流高電圧スイッチなどの提案が進んでいる。回路部品では、パワコンの小型・高効率化に向け、小型軽量かつ低損失の中高圧コンデンサやパワーインダクタ、小型でハイパワーの抵抗器などの開発も活発だ。

蓄電システム用部品 

 EVは、V2Hの広がりに伴い、家庭用蓄電装置としての位置付けが強まっている。EVバッテリに蓄えた電力を家庭用電源として使用することで、夜間電力の有効活用、停電時や災害時のバックアップ電源の役割も期待されている。

 このため、電子部品各社は、xEVの急速充電用デバイスや、インバータ、コンバータなどに使用されるパワーデバイス開発に力を注いでいる。

 EVインバータ向け電流センサーは、高感度磁気素子を搭載した高精度な電流センサーによる小型・軽量化提案などが進む。インダクタは、SiCなどの次世代パワー半導体での周辺回路の変化に対応する小型・高効率パワーインダクタの提案などが進められている。EV充電用デバイスでは、各国充電規格に対応した普通/急速充電用コネクタの開発が活発。EV用ワイヤレス給電システムの開発も進展している。

スマートハウス向けⅠoTシステム

 最適なHEMSの構築に向け、高精度センサーとBLE/サブギガ帯モジュールの融合による最適なⅠoTシステムの提案に力が注がれている。近年は、SigfoxやLoRaWANなどのLPWAモジュールの製品化に乗り出す企業が増加している。

 家電製品をネットワーク連携する「エコーネット・ライト」対応ユニットなどの提案にも力が注がれ、対応アダプタやコントローラ、バッテリレス無線スイッチ、音声認識リモコンなどの組み合わせによる家電・住設機器の遠隔操作ソリューションなどが提案されている。

 電池を不要とするエナジーハーベスティング技術の開発も進展。エナジーハーベス用発電デバイス、同デバイスを組み込んだ機器・システムの市場は、今後高い成長が見込まれている。