2021.04.15 【自動車用部品/コネクテッドカー関連技術特集】マキシムが車載BMS用電圧、電流、温度、通信データ収集システム14ch、ASIL-D準拠で高い安全性を実現

14ch、高電圧、ASIL-D準拠のデータ収集システム「MAX17852」

【はじめに】 

 脱炭素社会の実現に向け、世界中で普及促進の取り組みが進められている電気自動車(EV)。従来のガソリン車と比べて、走行距離や電池寿命がEVの課題であり、その性能を左右する車載バッテリーマネジメントシステム(BMS)は技術開発が進められている。

 米マキシムインテグレーテッド(日本法人・マキシムジャパン)はこのたび、BMSの電圧、電流、温度、通信に関する最高レベルの安全性を提供し、スペースの削減とソリューションコストの低減を実現する14チャネル、高電圧、ASIL-D準拠のデータ収集システム「MAX17852」を発表した。このICはEV、ハイブリッド車(HEV)、その他の交通システムへの内蔵用に設計されており、スマートジャンクションボックス、48Vおよび最大400Vの電池電圧を持つ車載バッテリーシステムに最適だ。

【高い安全性要求をクリア】

 EVおよびHEVメーカー各社は、すべてのバッテリーシステムがISO26262ガイドラインで規定された最も高い安全性要件を満たすことを要求している。

 マキシムは包括的な診断と安全性重視のアーキテクチャーでMAX17852の設計と製造を行い、電圧、電流、温度、通信に関する最も高いASIL-D規格を満たすシステムを実現した。この小型でコスト効率に優れたICは厳格な時間的同期を備え、電圧、電流、温度データを高い精度で配信する。

 室温でプラスマイナス0.45mV(typ)のセル電圧測定が可能で誤差は5-40℃の温度範囲で最大プラスマイナス2mVのため、自動車メーカーは自社のバッテリーから最大の走行距離を得ることができる。電流検出アンプのプラスマイナス300mVの能力と最大256倍の利得設定および0.3%の電流検出利得誤差を持つMAX17852はパワーマネジメント、健全度、残容量を算出するための高速かつ高精度のデータを提供する。この14チャネルのバッテリーデータ収集システムは電流検出アンプを内蔵しているため、電流の情報をセル電圧および温度と同時に取得することができる。

 また、MAX17852はホールセンサーとシャント抵抗の両方を検出部品として使用することができる。

【主な特徴】

 ・最高の安全性:ASIL-D定格の電圧、電流、温度、通信によって安全性を強化。


 ・最高の精度:利得誤差が最も優れた電流検出アンプによる測定精度により、高精度、時間的に整合した電流測定を実現し、潜在的に走行距離を増大。


 ・小型化:高集積によってディスクリートソリューションに比べ、最大16%の小型化を実現し、基板スペースを節約。


 ・コストの削減:電流検出アンプを内蔵することで最大20%のコスト低減を実現。


 ・汎用性:電圧、電流、温度の検出によって多数のアプリケーションに適応可能。

【最後に】

 自動車のメガトレンドであるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアード&サービス、電動化)の動きは加速し、自動車の技術革新が続いている。次々と新たな技術が開発される一方、安全性は自動車にとって不可欠な問題だ。

 自動車の電動化が進む中、BMSでASIL-Dの安全性を実現したことは、EVの普及拡大にもつながる。マキシムは今後も高性能半導体の広範なポートフォリオを生かし、高効率電源、高精度測定、高信頼の接続性、堅ろうな保護を実現するアナログソリューションを提供していく。