2021.05.07 海外で太陽光発電事業に初参画エネオス、手掛ける規模も最大

エネオスが、国内の遊休地で運営するメガソーラー

20年9月に稼働したエネオスのメガソーラー20年9月に稼働したエネオスのメガソーラー

 石油元売り最大手のENEOS(エネオス)は、米国・テキサス州で開発が進む太陽光発電事業に参画する。スイスに本社を持ち、再生可能エネルギー電源などの開発を手掛けるアドバンスド・パワーの事業で、エネオスにとっては海外で初の太陽光発電事業となる。発電容量も同社が手掛ける規模としては最大で、「自由化で先行する米国電力市場において、海外事業経験・知見を蓄積する」としている。

 太陽光発電所は、テキサス州の最大都市、ヒューストンから南西に約60キロメートルの敷地約2.8平方キロメートルに設置する。エネオスは、国内大手リース会社などと事業の運営会社に出資することを通じて、参画した。出資額などは非公表。

 発電容量は全体で140MWに達し、エネオス側が引き受ける容量分でも70MWに上る。2022年後半に運転開始を予定し、発電した電力は、同州の公的機関を通じて販売を計画している。

需要の増加を見込む

 エネオスは、台湾で21年12月に稼働予定の洋上風力発電事業(43.2MW)に参画しているが、海外での太陽光発電事業としては初めてだ。

 同社は、初の太陽光発電事業に米国を選んだ理由について、電力の完全な自由化が進んでいて、売電ノウハウを獲得できる点や、石油関連を含め米国での事業に長く携わってきた実績があることなどを挙げている。米国・オハイオ州でも、高効率ガスタービンを採用した天然ガス火力発電所(21年半ば商業運転開始)に参画することなどを公表している。

 また、テキサス州の現地は年間を通して日射量が豊富であり、米国の再エネ促進策などの支援も受けている。さらに、同州では人口の増加が見込まれており、電力需要の着実な増大も想定されているため、「有利な点が多い地域」(エネオス広報部)とみて、参画を決めた。

 エネオスグループでは、国内で稼働を始めている再エネ電源を計約125MWを持つ。メガソーラー(20カ所、約48MW)や、水力(1カ所、約5MW)、風力(2カ所、約3.5MW)のほか、バイオマス(1カ所、約68MW)も展開している。

 ただ、グループが19年5月に公表した「40年長期ビジョン」(20年5月に一部改定)では、再エネ事業の目標が大きく規定された。22年度までに国内外で再エネ事業の総発電容量を約1000MW以上に拡大させるという目標を掲げており、すぐ目の前に控える。

 同社広報部は「長期ビジョンの目標に向けて、国内外ともに引き続き、再エネの拡大を図っていく」と話している。