2021.05.17 【自動化ソリューションの取り組み】「スマートマニュファクチャリング台湾2021」から NTTデータ台湾

NTTデータ台湾・邱販売部長

製造実行システムとAI訴求

 【台北支局】4月21日から23日まで、台湾(台北・南港展示会場)でディスプレーと半導体製造のための専門展示会「スマートマニュファクチャリング台湾2021」が開催された。工場のスマート化を実現する設備やソフトウエア、ネットワークなどの台湾企業が出展した。会場では完全自動化、仮想化、人工知能(AI)統合ソリューションなどに来場者の注目が集まっていた。

 NTTデータ台湾は、今日まで20年以上にわたり、SAP ERP(企業資源計画)導入を検討する多くの企業支援を行っている。加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の達成レベルは業界によって異なるため、同社は設備自動化プログラム(EAP)、製造実行システム(MES)、企業資源計画(ERP)、AIそしてクラウドをあらゆるレベルで統合していくサービスの提供も行っている。

 今回の展示会で同社は、特にMESとAIを訴求した。

スマート工場の核となるEXC-MES(製造実行システム)

 NTTデータは導入プロセスの事例として、台湾政府指導下にある台湾紡拓会(TTF)を取り上げた。同社は台湾の繊維産業発展を支援している。

 同社が開発したMESを導入すれば、例えば衣料関係の試験工場では生産プロセスの透明性が高まり、管理者は生地の在庫や製造工程の進展、品質、注文品の完納予定日を即座に把握することが可能になる。

 NTTデータ台湾のスマートマニュファクチャリング開発センターの邱達暘販売部長は「移行過程にある会社でDXを進める上でまず着手すべきことは、工場の設備を調べて製造工程に影響を及ぼす主な要因に関するデータを取得すること」という。

 台湾において、NTTデータがMESやコンサルティングサービスの提供対象としているのは、繊維業・シューズ甲材業だけでなく、射出成形、PCB、SMD/SMT、半導体、自動車照明といったさまざまな産業に及んでいる。

 近年は、半導体産業での材料不足から、スケジューリング最適化に関する問い合わせも受けるようになった。リアルタイムの製造調整、スケジューリング効率の向上、注文変更の効率化、正確な需要予測といったニーズに合わせてERPをMESに取り入れることも可能だ。

DXを加速させるディープラーニング

 ブースでは、ディープラーニングの応用事例をいくつか紹介した。

 ICファウンドリーでは、ウエハーの欠陥を人の検査官によって八つに分類していたが、画像ラベリングを利用することでより短い作業時間で44に分類にすることができる。

 ラップメーカーの事例では、工場で使用されているフィルターのライフサイクルを予測することで使用時間を伸ばし、年間20%のコスト削減が可能であることが示された。

 SMT電球メーカーでは、AOI(自動光学検査)による欠陥分類について、会社独自の品質検査基準を開発できるようになった。このため、過度の欠陥判定を出すことがなくなり、月間80%のコスト削減につながっている。

様々な製造現場で工程改善

 以前は、経験豊富なベテラン従業員でなければ対応できなかったアクセスマシンの扱いも、AIシステムのおかげで柔軟な調整が可能な方法に様変わりした。NTTデータ台湾は、さまざまな製造現場で工程の改善に提案を続けている。

(つづく)